▼中学校の体育科指導をなさっていた方が小学校の教師になられた。赴任された小学校が三年間で変わったという話を同僚の方から聞いた。その秘訣を知りたくて、いろいろお話をお聞きした中で次の事が印象に残った。

▼中学校で伸びる子は行進ができる生徒、付け加えてドッジボールが楽しめるクラスの二つを上げられた。行進は前の生徒の耳の高さまで手が上がることが大事だという。赴任をした小学校でも運動会では手を振る、高く上げるという行進を徹底した結果、これが契機になり学校が引き締まったというのである。

▼行進とドッジボールに興味を持ったが、よく考えてみると教師の指示を聞けるかどうかというところだろうと勝手に考え納得をした。更に、前の生徒の耳の高さまで手を上げるということは胸を張って行進することにつながる。ドッジボールはクラスの人間関係が耕されていないと楽しめない。二つは運動やスポーツの基本を端的に表していると考え、さすがに着眼点が違うと思わず唸った。

▼行進やドッジボールに該当するものを国語科で考えてみた。これができれば子どもがのびるものといえば「声」「書くこと」であろう。声は言語生活の基本である。書くことは考えることと直接関わる。声と書くことは私のキーワードである。(吉永幸司)