▼星野仙一前阪神監督が「目標には長期計画・中期計画・短期計画がある」と述べているのを聞いたことがある。長期計画は優勝ラインを何勝か決め連敗を防ぐ準備をすること。中期計画は、長いペナントレースの間に必ず来るローテーションの谷間への対策。負けてもともとのゲームだから余裕を持って戦う。短期計画というのは相手がエースでこちらが大したことのないピッチャーの場合、勝ち目が薄い。これを勝ちにいく。これが連勝につながるという意味だったように記憶している。策略や計略は勝ち目の薄いゲームを勝ちにいくことからうまれるのであろう。

▼年間計画というものでなくても、一単元の指導でもこの考え方は通じると思いながら教室の風景を考えてみた。物語文や説明文の指導で、どの子もが興味を持って学習をするであろう活動、少し抵抗があるので多くは欲張らず、余裕を持って指導をする授業、明らかに策略が必要な授業などを考えるとすれば、計画が必要である。野球では優勝であるが、授業では、学力を高めることがそれに匹敵をする。

▼指導が入らない、子どもに意欲がない、教室が動かないという勝ち目の薄さを自覚したとき、勝ちに行くには、今までに身に付けた指導技術、指導方法が役立つのだろう。それがプロなのだろう。(吉永幸司)