見えるだけ書ける 書けるだけ見える
中 嶋 芳 弘

「書写の授業を見たことがない」「大学でも書写の講義(単位)がなかった」「書写の研修会へも行ったことがない」という教師は多いと思います。書写の講義のない大学、書写の授業法ではなく「書道」の講義しかない大学もあります。書写・書道の研修会もあまりありません。
 そんなわけで、教師の多くは、かつて自分が教わった書写の授業か、習っていた習字の塾の教え方を思い出して授業を進めるしかないわけです。

【書写の授業はだれでもできる】
1 手本の準備
 手本はできる限り大きく。小さい手本ではねらいが見えにくくなって学習の深まりの差が大きくなります。
2 目標を念頭に置く
 書写の授業の目的は、文字を整えて書くための方法を計画的に理解・定着させることです。教科書の「単元」に書いてあることがその授業の「目標」になります。そこで、授業の前に教えたいことを「単元の目標」を中心にしぼっておきます。
(滋賀は書写書道指導に熱心な研究が積み上げられている県です。子どもの書を見つめ、子どもらしい元気な字を認めるようにしています。どの子もよいところを字形や線質について的確に認められることで学習への意欲が高まります。(滋賀県書道協会 滋賀県書教育研究会

【毛筆の授業】
 それでは、授業のパターンとして一例を示していきます。
(1) 学習する文字の筆順を確認する。
(2) 授業のねらいを確認し、「爪書き」する。(書き上がりを頭の中に書きます。なれるまでは半紙に爪で書かせたり、指や墨のついていない筆で書かせたりします。)
(3) 1枚だけ書く。
(4) ねらいに照らして作品を見つめる。
(5) ねらいを意識して「手本を見て」2枚目を書く。(机間巡視をして個別指導をします。ねらいにあわせて評価したり、範書して示したりして、まとめ書きへの意欲を引き出します。)
(6) 再度ねらいを確認して、まとめ書きをする。(はじめに2枚配り、ここで、ほめながら追加してもよい。)

 書写の授業に限りませんが、教師が教科書をよく見、展覧会で子どもの作品をよく見ておくこと。どのように書かせたいのか見えていれば、それだけ的確な指導ができます。子どももまたしかりです。書けるようになれば、ねらいもすぐに見つけられるようになります。
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