第17回「新しい国語の授業」研究会
「書くこと」の授業実践に学ぶ
三 上 昌 男

 第17回「新しい国語の授業」研究会が、7月30日に大津市で開催された。
 午前の部では、「書くこと」に関する2人の実践発表から学び合った。

 1つ目の実践は、岡嶋大輔先生(滋賀大附属小)の「中心をはっきりさせて作文を書く学習づくり」(3年)である。「はじめ・なか・おわり」という文章構成を示し、中心をはっきりさせ、会話文を使って詳しく書くことをめざした実践であった。例文を活用したり、ワークシートを使って段階的指導を展開したり、指導の工夫が感じられた。

 岡嶋先生が、考察の中で提示されている「中心のしぼり方」についての指導のあり方が、興味深かった。…「夏休みのできごと」の中の「家族旅行の二日間」なのか、「家族旅行の二日間」の中の「遊園地に行ったこと」なのか、「遊園地に行ったこと」の中の「ジェットコースターに乗ったこと」なのか、どの話題の広さを「中心」とすればいいのか難しいと感じた。…と述べておられる。

 これは、「心に残ったことを知らせよう」というテーマの大きさと関わっている。会話文を使って詳しく書くためには、中心となる場面の切り取りが必要になってくるのではなかろうか。また、子どもに分かりやすく、「会話文を3つ以上使おう」などのめあてを示すことが考えられる。

 2つ目の実践は、井岡良太先生(奈良県陸西小)の「情報活用能力を育てるガイドブック作りの指導」(6年)である。2年生の子どもたちに、学校(主に特別教室)を紹介するガイドブックを作成することを意図した学習である。読み手が求める情報を調べ、整理し、分かりやすく伝えるために表現の工夫をする展開は、情報活用能力を高める国語科の指導として評価できる。

 今回の学習では、「相手意識」がキーポイントになっている。2年生が知りたい情報・2年生に役立つ情報を集めたり、2年生が分かりやすい説明の仕方や読みやすいページ構成を工夫したりすることで、2年生に喜んでもらおうという意識で学習に取り組めたかどうかが問われる。それは、「小学校に慣れてきたが、まだ学校の中で知らないことがたくさんある」2年生にとってどんなガイドブックがいいのかを考え、伝えたい内容を明確にすることでもある。

井岡先生は、実践を通した子どもたちの学びの姿から、成果と課題を捉えておられる。子どもたちの「書くこと」への意欲の高まりを生かし、伝え合う力を高める授業実践の継続に期待したい。
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