巻頭言
いのちの不思議について
Dr.Susu*

 私たちの命は、最初は1個の運動する細胞である生殖細胞である精子と動けない生殖細胞である卵子とが出会い合体して出来た1個の受精卵からスタートします。
 これは式で表せば、1+1=1となります。不思議な数学ですね。

1,2,4,8,16,
32,64,128.256,512,
1024,2048,4096,8192,16384,
32768,65536,131072,262144,524288,
1048576,2097152,4194304,8388608,16777216,
33554432,67108864,134217728,268435456,536870912,
1073741824,2147483648,4294967296,8589934592,ーーーー

 10回目で512個、20回目で52万4千個、30回目で5億3千個となり、次の31回目からは概算すると約10億6千個、32回目には21億2千個、35回目は170億、36回目は320億、39回目で2560億、40回目で5120億、41回目で1兆240億個となります。あと5回ほど分裂すると成人の体を作り上げているすべての細胞の数である60兆個になります。

 つまり、たった45回の分裂で一人の人間を作り上げている全細胞が出来上がります。1日に1回分裂すると仮定すると1ヶ月半で、早ければ1ヶ月以内にヒトが出来ると言うことです。それを可能にするのが受精卵を生育させる子宮を持った健康な母体なのです。そう考えると、このような不可思議で精妙な人のいのちを作り上げる過程を傷つける環境はないように努力することが大切だと理解できますね。

 これから生きてゆく子どもたちが、正常で完全な細胞分裂を経て、健全な身体を持ってこの水の惑星である地球に生きてゆけるような生命環境を私たちが保証する必要があります。
 私はこのような観点から、人を含めたすべての生き物のいのちを大切にする生命環境教育を進めていきたいと考えております。皆様はいかがお考えでしょうか?
*高桑進(京都女子大学・短期大学部 初等教育学科所属)