パネルディスカッションで、話し合うことのよさを体験的に学び合う
杉 澤 周 一

 2か年計画で、5年2、3学期にオリジナルディベート1、2と積み重ね、6年1学期にオリジナルパネルディスカッションをした。
 ゲーム感覚の楽しさやスリルはなく、立場は流動的であるというスタイルに変わり、内容を深めることそのものに関心を持たせ、本来の話し合いに近づけ、その意義を体験的に学ばせる段階である。

 テーマは、「運動会の応援合戦を成功させるために話し合おう」という実際問題を設定することで興味を喚起し、切実感を持って話し合う舞台作りをした。
 テーマについて思い・考えを書かせた後、次の小テーマを設け、メモを作り、話す練習をしてパネルディスカッションに備えた。
 (1) チアガールは、いらないのでは
 (2) 長短2つの応援歌が必要なのか
 (3) 演技内容のよいアイディアとは
 オリジナルな部分は、グループを作らずパネラーもフロアーも個人参加。出された意見を聞き、話し、じっくり考え、よりよく変容させていくように指導した。

【(2)のディスカッションの様子】
パネラーの主張の骨子
A…1つにする。練習時間がないのでその分、他の練習に使う。
B…2つとも要らない。時間がなく準備と練習が大変なのに、あまり効果がない。
C…いろんな考えがうかび、わからない。
 パネラーが質問も含め、相互に意見を交わした後、フロアーも参加して活発な意見交換になった。
パネラーの最終発言の骨子
A…短い歌のよさもあることがわかったので、各組で話し合い、必要ならば2つにしてもよい。
B…良いものができて必要なら、どちらかを入れてもよい。
C…各組が効果があるように考え、練習ができるなら一つでも2つでも、入れたらよい。

 ディベートの積み重ねがあるからこその子どもの学びを挙げる。
・じっくり考える時間があった。
・意見を聞いて、考えて、自分の考えが変わるところがいい。
・自分の考えにみんなの意見をまぜてみたら、いい考えになった。
・自分とはちがう意見でも、すなおに受け止められた。
・逆の立場の意見も取り入れて自分の考えを深められる。
・話し合うことで、1つのことがいっぱい広がることがわかる。
・意見を言うと、みんなが話に入ってきてくれる。
・そっちがいいなあと悩まされる。
・意見がゆれ動いてもいいことに気づいた。
・意見交かん。会議のような感じ。

 この学びを生かし、日常的に誰かをパネラーと見立て「賛成、反対、質問、疑問、わからない、迷い」を交わし合おうと指導した。
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