相手の話を聞き、広げて話す
岡 嶋 大 輔

 1つのことに対して、それぞれが自分なりの考えを持ち、それを素直に話したがる3年生。さらに友達の話を聞き、それと関わらせて話すことができるようにと、次のような活動を仕組んだ。

 1グループ4人の生活班の中から1人だけ「主役」を決め、他の友達は「記者」になる。「記者」は順番に「主役」に1分間質問を続けるというもの。質問役を「記者」と呼んだのは、少しでもたくさん話を聞こうとするような積極的なイメージがあるから。
 ルールは、
 ○「記者」は話を広げていくように質問をしていく。
 ○「主役」はできたら質問に対してちょっと詳しく話していく。
 ○どちらも、丁寧な言葉で、最後まではっきりと話していく。
という3つを示した。

 話を広げていくようにするということで、始めの質問内容が大切になってくる。聞き役はあまり詳しく知らないが、話として広げて聞けそうな話題が良いと考えた。そこで、まずは教師が「今までで行った旅行(お出かけ)で心に残っているのは、どこに行ったことですか」という話題を提供した。答える側には、「心に残った」の前に「一番」や「最近の中で」等をつけて思い出すと良いことも付け加えた。

「私は最近、水口の映画館に○○という映画を観に行ったことが心に残っています。」
「それはいつ行ったのですか。」
「先週の日曜日のお昼から観に行きました。」
「誰と行きましたか。」
「お父さんと、お母さんと、妹です。」
「その映画はどんな映画でしたか。」
「小さな魚とサメが出てきて、いつの間にか仲良くなっていった話です。そのサメはベジタリアンだから、友達の魚が食べられてしまうことはありません。」
「面白かった所はありましたか。」…
というように続けた。

 「主役」は自分のことなので話しやすいようであったが、「記者」は聞いた話をどう広げていったらいいのか悩むことがあった。
 一度、一斉の授業に戻し「話を広げて聞くコツ」を出し合った。
 いくつか出てきたが、「いつ」「どこで」「だれと」「どんな」「どのように」等というキーワードを頭に置いて聞くと話が広がり詳しく聞けるというコツが出てきた。「そうか、分かった、もう1回しよう!」という声。話すのが苦手だと思っていた子が、つまりつつも楽しく会話に参加している姿を見るのが嬉しい。
(甲賀市立佐山小)