「○○ぼく」から「○○ぼく」へ
岡 嶋 大 輔

 3年生の教室。「ぼくはねこのバーニーが大すきだった」(東京書籍3年下)を読んだ。
 主人公のぼくが大好きだった猫のバーニーが死んでしまい、ぼくが泣いて悲しむ場面が強く印象に残った子が多かったのか、初発の感想には、「自分も、かっていた犬が死んで悲しかった」「ぼくがかわいそう」というようなものが多かった。
 その中で、「元気がなかったぼくから、元気が出てきたぼくにかわっていってよかった」という感想があった。
 2学期の半ばに「サーカスのライオン」(東京書籍3年下)で、主人公の変容を中心に学習したので、それとも関連させてこの感想を生かして学習を進めていった。

 始めは、読みにくい漢字を読めるようにしたり、ぼくが悲しいと分かる文や言葉を見つけたり等して、話の大体をつかめるようにした。
 そして、ぼくの気持ちや心が一番大きく変わったと思うところを考えるようにした。
「バーニーも?」とぼくが聞く前、「だったら、だったら、バーニーも、花や葉っぱを作る手つだいをするの?」とぼくが聞く前が、ぼくの気持ちや心が一番大きく変わったところだということで意見が分かれた。

 それぞれの考えを出し合う中で、前者はまだはっきりとしていないけれど、後者は「だったら、だったら」と二回くり返しているので、ぼくの気持ちや心が一番大きく変わったところだ、という考えが大半を占めた。
 では、その前後で、ぼくがどのように変わったのかということを出し合い考えた後、それぞれが短い言葉でまとめることにした。

○大すきだったバーニーが死んでとても悲しかったぼくだけど、母さんや父さんにやさしくしてもらって、元気を取りもどしたぼく。
○大すきなバーニーのいいところを九つしか見つけられなかったぼくだけど、父さんに教えられて、十のいいところを見つけられたぼく。
○バーニーが死んじゃってぜんぜん元気がなかったぼくだけど、死んでも花や葉っぱを作る手つだいをするって分かったぼく。

 物語の中心となるところを自分たちの力で捉えられたように思う。そして、主人公の変容という視点で読む骨やあらすじの一つの書き方、ということを少しでも掴んでくれたのだと思う。
 その後、学習の感想を書いた。物語の主人公と一緒になって「死」について考えているのだなと思うものがたくさんあった。
(甲賀市立佐山小)