第16回「新しい国語の授業」研究会
日記から随筆へ
三 上 昌 男

 日記が、日々の出来事や感想を書いた記録であるのに比べ、随筆(エッセイ)は、生活の中で感じたことなどを書いた文章で思索的要素が強いものである。
 北島雅晴先生(草津第二小)の実践提案は、「書く力を進んで高めようとする学習〜随筆(エッセイ)を書く〜」というテーマであった。

 今、日記を書くことを継続的に指導されている学級は、どれくらいあるのだろうか。5年生の北島学級では、毎日日記を書き、多様な作文学習が積み重ねられてきている。その過程で今回の「随筆を書く」学習が展開されているわけだが、これから日記を書く指導を大事にしたいと考える指導者にとって、学ぶべき内容が盛りだくさんの提案であった。

 指導のポイントとして、次の4点が示されている。
(1) 随筆を書く意義を子どもに伝える。
(2) 随筆につながる学習を事前に行う。
(3) 考えたこと(伝えたいこと)と出来事(事例)をはっきりさせてから書く。
(4) 友達との交流、学習のふり返りを大切にする。

 学習の過程が細やかに準備されている。その始まりは、「日記の題材見つけ」からである。その日の出来事から、1日5つ以上日記の題材を見つけ、その題名を書く。書けそうなものには△、書きたいものには○をつけ、余裕があれば日記を書く。1日10分以上考えるように働きかけて、1週間継続されている。その間、学校では、題材見つけのことを話題にして、自然な形で支援されている。
 次の1週間は、「考えたこと・ふと思ったこと」を1日3つ以上見つけ、一文で表現することが課されている。
 こうして蓄えられた題材をもとに、随筆に書く題材を決め、友達に伝えたいことを短い文章で表し、題名をつける。また、北島先生が書かれた随筆の作品例が示され、子どもたちは随筆のイメージを捉え、記述に取り組むのである。

 無理なく日記から随筆に向かう段階的な指導は、見事である。子どものつまずきも予想されていて、題材選びや書き出しで悩んでいる子どもに対し、個別に支援がなされている。
 子どもたちは、400字〜600字の随筆を書き上げ、互いの作品を読み合ってメッセージを伝え合い、自己評価も行っている。
 北島先生は、今回の学習指導を通して、書く題材を広げ、考えが深まり、書いてよかったという思いが残ることをねらいとされていた。子どもたちは、書くねうちを感じ、日々の日記を豊かにすることに生かすことであろう。
(近江八幡市教育委員会)