▼「調理の基本を訓練することを目標とする本校では、まず形のあるべき姿を重視する。入門期におけるスタイル(姿)にはじまり、包丁の研ぎ方や用途に応じた切り方はもちろん、魚の調理でその順序や頭の向きに至るまで、さらには味つけや盛りつけの基本等々、正しい形を身に付けるまで徹底して指導することにしている」(滋賀教育紙)と多賀左近氏(調理短大校長)が基礎訓練の大切さを説いておられる文に出会った。

▼剣道・柔道・書道・華道というように「道」のつくものは形を大事にしていることはその世界を知らなくてもある程度予測できる。調理も形から入る「道」の世界なのであろう。「基本的な訓練を怠ると心が育たないばかりか技も大成しない」という氏の結びの言葉も納得できる言葉である。

▼「師道」と言う言葉がある。勝手に教師の心得と捉えたら「基本」は何だろうと考えてみた。今と比べると初任者のための研修は制度としてはそれほど整っていなかったが、厳しく仕込まれたことがある。例えば、板書・チョークや教科書の持ち方。画鋲の使い方まで細々と。学ぶことが新鮮だった。

▼教師の基本・基礎訓練は何だろうと自問しつつ、甘くなっていた自分を自戒する。(吉永幸司)