荒神山自然体験教室
中 嶋 芳 弘

 「聞くこと」とあわせて「話すこと」の指導の大切さが言われる。その内容について、指導要領には次のように示されている。「話すこと」の指導では、
 ア 伝えたい事を選び、自分の考えが分かるように筋道を立てて相手や目的に応じた適切な言葉遣いで話すこと。
 ウ 互いの考えの相違点や共通点を考えながら、進んで話し合うこと。
言語事項の話すことでは、
 ○ その場の状況や目的に応じた適切な音量や速さで話すこと。
 ○ 相手やその場の状況に応じて丁寧な言葉で話すこと。
そして、内容の取扱いとして、次のような言語活動が例示されている。
 ○ 身近な話題についてスピーチをすること
 ○ 身近な出来事や調べた事柄について説明したり報告したりすることなど

 さて、他校でも同様の取り組みをしていることと思うが、本校でも、「荒神山自然体験教室」を実施した。小学校生活初の宿泊を伴う行事である。子どもたちは、班にわかれ、みんなと仲良く活動するにはどうしたらよいか、どんなことをするのかを話し合い、準備や練習を続けてきた。その中に、班長による司会やあいさつ、学校紹介、活動係による活動の説明、食事係による諸注意などがあった。

 宿泊を伴う学習が初めて、従ってその中での様々な「話すこと」の場も初めての子どもたちである。「1回きりの場なのだから、原稿を読ませて終わればよい」という考え方もあろう。しかし、子どもたちの合宿に向かう期待と緊張は、苦手なことを克服していくバネになるものである。「できれば、しっかりと覚え、胸を張って」と場に臨む子どもたちに声援を送った。

 「自然体験教室」が終わり、学校へ帰りつく。そして、「帰りの集い」を司会するA児が前に出た。
「すばらしい体験をして、元気に帰って来ることができました。これはみんなが協力して活動を進めたからだと思います。それでは、まず、活動係のみなさんにウォークラリーの結果を発表してもらいます。」
「ウォークラリーの結果を発表します。1位は、1班。90分ちょうどでした。1班の人、前へ ……後略……」
 練習では、学校紹介の言葉がうまく言えなかったB児。夕べの集いでは、練習の成果を見せ、しっかり話すことができた。その満足感もあってのことだろう。「帰りの集い」では、仲間の話に瞳を輝かせて聞き入っている姿が見られた。
(彦根市立河瀬小)