▼東京の女性(69歳)の投書を新聞で読んだ。「先日、岡山に住む小学5年生の孫から電話がかかってきた。『ばあばの若い頃のリサイクルはどんなふうにしていたの?』リサイクル?急に思い当たるものはなかった。でも、孫の宿題に答えを出してあげなければならない。そして思い出したのは毛糸だ。」この後、女性は毛糸で編み物をしたことや擦り切れた毛糸のセーターをほどいて編み直したりした子どもの頃を想い出し、「あれがリサイクルだろうか。浴衣がおむつになったり、穴のあいた靴下にツギを当てたり」と使い捨てが普通になっている今と違う時代の回想を綴っていた。

▼この投書が心に残ったのは、孫の電話に一生懸命に答える女性の姿である。この子はおそらく総合的な学習の時間の課題として調べていたのであろう。今の時代と違う昔の様子を電話で聞き、祖母に確かめ、得意になって教室で紹介したであろう様子が想像できる。

▼開かれた学校とか地域の教育力が話題になる。それは難しいことではない。教室に高齢者や地域の人に学ぶという雰囲気が育っていくことであろう。

▼女性の投書は「最近、孫は昔の道具や暮らしのことをよく聞いてくる。私は孫のためにもできるだけ多くの質問に答えようと元気がでたきた」と結んでいた。学ぶことが多い投書であった。(吉永幸司)