1年間の学習をまとめる力
西 村 嘉 人

 3年生の最後の単元「自分でえらんで」には、「モチモチの木」と「虫のゆりかご」という教材が2つ並んで載っている。これを子どもたちに選ばせて、教室で並行して扱えというのである。
 教室で学ぶ子どもの姿をイメージしてみた。隣同士の子どもが別の教材を読んでいる。音読をしている子どもや、ノートに自分の考えを書きまとめている子どもがいる。こんな教室のイメージから、必要なのは、教室の仲間がどんな学習を進めたかという交流であろうと考えた。出口の形を考えて以下の学習構想を組み立てた。

(1) 音読を繰り返し、2つの教材を大まかにとらえる。
(2) 1年間の国語科の学習を振り返り、経験した学習方法を確認し、主に学習を進める教材を選ぶ。
(3) 自分の選んだ教材の学習を進める。
(4) 進めてきた学習の発表方法を考え、発表の準備をする。
(5) 学習成果の発表会をする。

 この学習の見通しを子どもたちに示し、学習を進めた。
 面白かったのは、(2)の時間である。私の方は1年間指導してきたのであるから、教材とそのときに行った学習活動が一致していて当然である。子どもたちは…というと、これが全くと言っていいほど教材と学習活動がつながらないのである。役割音読、面白い言葉探し、クイズ作り、大事なことまとめなどの学習活動は比較的覚えているのだが、教材とはつながらなかったのである。1つ1つをつなぎ合わせ、「こんな学習をしてきて、こんなことができるようになったんだよ」と振り返ってみて、改めて「そうなんや!」と気づく子どもたちであった。教えた教師が思っているほど、子どもたちには印象に残っていない、という厳しい現実を感じた1時間であった。

 それでも、子どもたちは教材を選択するときには学習方法と発表の形をイメージして、一人学習を進められるようになっていた。
○ぼくは、3時間で音読がうまくできるようになって、「モチモチの木」の豆太の様子が伝わるように読みたい。
○豆太のいいところを見つけてみんなに知らせたい。
○「虫のゆりかご」の大事なことをまとめて、分かりやすく書き直したい。
○クイズを作って、みんなに「虫のゆりかご」で大事なことを教えたい。
 ほとんどの子どもが教材の特徴と学習方法を一致させ、学習の見通しを立てることができていた。

 1年間の学習をこんな形で振り返るのも悪くないなと感じた。
(彦根市立城南小)