読むことの授業〜1年間を通して(6年生)〜
蜂 屋 正 雄

●はじめに
 本年度は年間を通じて、要旨にあたる文章と心に残った場面の文章を意識しながら読ませるために、教材文に二種類の線を引きながら読むことを続けてきた。これは、齋藤孝著「三色ボールペンで読む」という本を参考に実践した。

●線を引くときの約束
 ――――(直線) 重要
 〜〜〜〜(波線) 自分の中では重要(気に入った・面白いと思った)
 最初に、この本の中にある「新発明のまくら」を使って、スキル学習に取り組んだ。
 重要と思われる部分とはどんなところかを確認し、自分の興味によって引く波線はどこに引いてもよいことを伝え、実際に引かせた。
 つまり、物語文や説明文を読解するために重要だというところ、要約文を作るときにキーワードとなるところには直線、自分自身が面白いと思うところには波線を引いていった。

●子どもの様子
 子どもたちは波線は気楽にいろいろなところに引いていたが、直線はなかなか引けないようであった。直線と波線の違いもあまり区別できていない子も多かった。まずは、たくさん線を引かせ、子ども同士で線を引いたところを交流させていく中で、だんだんとコツをつかんでいったように思う。
 波線は子どもたちの興味や関心の特徴が出てきて、相手がどこに波線を引いているかを予想しながら読み合う姿も見られた。
 逆に直線はたくさん引いて、人の引いた直線部分を見ることで、どの文章が最も重要で、キーワードになりそうかをを話し合いながら、一本化していくことができるようになっていった。

●成果と課題
 成果としては、感想や疑問といった初めの感想を書く時の取っかかりになったり、子ども同士が読みあうことでお互いの考え方の交流をすることにも役立った。
 また、教科書に線を引き、その後一次感想を書くということを1年間続けてみた結果。線を引いたら一次感想を書く、というパターンが身に付いた。また、線を引いたところは「主観的に面白い」と感じているのか、「客観的に重要だ」と感じているのか、ということの違いに気づいてきたといった感想も聞かれた。
 課題としては、全ての教材についてこの手法を取り入れたが、読解に時間を費やしすぎたことと、単元によっては、この手法をとる必要が必ずしもない時もあったのではないかということである。
 今後も、何らかの形で、ただ読むだけでなく、何か残しながら読むこの手法を活用する方法を模索していきたいと思う。
(草津市立笠縫東小)