▼指導要領〔言語事項〕文字に関する事項において漢字指導について、次のように示している。「(ア) 第5学年及び第6学年の各学年においては,学年別漢字配当表の当該学年までに配当されている漢字を読むこと。また,当該学年の前の学年までに配当されている漢字を書き,文や文章の中で使うとともに,当該学年に配当されている漢字を漸次書くようにすること」 これは5年であるが4年で指導したはずの漢字は読み書きが完全にできるという意味と理解できる。(5・6年の場合)

▼漢字の指導で多くの学校が採用している市販の漢字ドリルや漢字のワークブックの編集もこの意図通り前学年の漢字を提示し習得の状況をを把握できるような配慮をしている。

▼指導要領を素直に読み、5年の担任の責任という狭い範囲で考えれば4年の漢字は確実に読み、書けるよう指導しなければならないのは当然である。しかし、その前の3年の漢字が確実に書けるようになっているかという点検はどうなっているのだろう。5年を担任した段階で、3年までの習得状況を調査し力として定着しているかどうかをしっかり把握しておくことを案外忘れているのではないだろうか。

▼指導要領が2学年というまとまりで示されたことは国語という教科の内容を考えると分かりやすいが、全体を見ることを忘れると落とし穴もある。(吉永幸司)