次年度へ受け継がれる指導
杉 澤 周 一

 校内で、本年度から国語科の「話すこと・聞くこと」の領域で研究を進めているが、その評価の時期になった。
(1) 「話すこと・聞くこと」の力を伸ばす国語科の授業の在り方を探る。
(2) 年間を通して「話すこと・聞くこと」の力を伸ばす日常的な指導の在り方を探る。
 この2つ、そして他教科や特別活動等を含めた「話すこと・聞くこと」の年間指導計画を全学年で立てて検証することにした。

 このような研究を振り返る協議から印象的なものを取り上げる。
 1つは、低学年の先生から、子どもは何となく聞いて何となく理解している実態を把握し、受動的より能動的に聞くことの指導の必要性について問いかけがあり、みんなで考えたこと。
【我々がしている多くの指導】
 ・最後までしっかり聞こう。
 ・静かに聞こう。
 ・話す人を見て聞こう。
 ・話の中心が何かをとらえよう。
 これらは、受動的であろう。だから、何となく聞いて、何となく理解して可としている。しかし、目的があれば可とはならない。
【能動的な指導のアイディア】
 ・終わったら質問をするためにスピーチを聞こう。
 ・良いところを後で教え合うために聞こう。
 ・自分と同じようなところや違うところをメモに整理し、後で意見を述べるために聞こう。
 ・ディベートで反論するために聞こう。

 もう1つは、学級や学校の子どもの実態と教科書教材を照らし、創造的な授業を展開し、2年間の年間指導計画を見直す動きがあったこと。
 高学年部で年間計画や研究授業について協議した際、担任が、このごろ特に女の子の発表が減り男の子もだんだん限られてきたという実態に苦慮していた。そこで、6年生は、教科書にないディベートの授業を1〜3学期に段階的に実施した。5年生は、教科書のパネルディスカッションを次への発展ととらえていかすことにし、やはりディベートの授業を取り入れた。そして、2学年で年間指導計画を見直し、討論の学習活動を段階的継続的に配置することを次年度に向けて提案した。

 さらに、スピーチは個々に段階的に学習するのが効果的であることや音声言語指導は、導入段階で関心・意欲を高め、次にそれを持続させるための工夫が肝要であること、「話し合うこと」の力をつけるために1年生から6年生までの「話し合う子どものめざす姿」を通した系統表を創ることなどを確かめ合った。

 これらのことが、自分たちが創った年間指導計画と「話すこと・聞くこと・話し合うこと」の力を何とか育てたいという教師の意識の高揚によって、どの教室でも実践される予感を得た。
(能登川町立能登川西小)