1年指導プラン「あそびにきてね」
吉 永 幸 司

 教科書を読んでいると、現職の時にはできなかったが、今ならこんな授業をしたいという気持ちが膨らむ。「指導プラン」として提案してみたい。先ず、入門期の第1教材「あそびにきてね」(光村)から。
 指導書では「国語学習との幸せな出会い」が基本的な考え方と位置づけている。幸せの中身は人・言葉・文・文字等様々である。

 学習活動のプランを次のように考えた。

(1) 絵を手がかりにお話を作る
 うさぎがかいた絵地図からお話が始まる。絵をたどっていくと、それが招待状であることが分かる。また、友達に手紙を渡している様子からお話のあらすじが予測できる。
「うさぎさんは、ぞうさんのおうちにいきました。」
「ぞうさんは、はなにみずをあげていました。」
 うさぎやぞう、やぎやさるを主語にして話をつくることが生き生きした言葉を生み出す契機になる。

(2) 登場する動物になりお話を作る
 「おはよう」は初めて出会う言葉である。日常、よく出会う言葉であるが、教室で学ぶと新しい生命が宿る不思議な言葉でもある。登場する動物になって会話を楽しむ学習を繰り返す過程で温かさとぬくもりのある教室が育っていく。「ともだち・なかよし」等の言葉が生まれる。

(3) 絵を手がかりに自分なりのお話の世界を楽しむ
 お手紙を食べてしまったやぎさんはその後どうしたのだろう等、絵に表れていない部分を作る学習もある。わたしの考えたお話の紹介ごっこは学習に幅を持たせる。

(4)わたしの言葉が響き合う教室を作る
 自分でお話ができる部分をみつけさせ、お話を通して、言葉が響き合う学習になるよう配慮したい。また、「みえたよ」の文字に気持ちを入れると、どんな読み方をするのか、気持ちを言葉に表す学習であれば、どの子も喜んで取り組む。

(5)「おはよう」の言葉を大事にし、手紙に魅力を持たせる
 初めて出会った言葉としての「おはよう」は記号ではない。大きい声で言ったかもしれない。にこにこしたり、親しみを込めて言うこともある。「おはよう」の様々な言い方を考えさせながら、言葉と心の響き合いを学ばせる機会でもある。

 また、最後の場面で、森の仲間が仲良く楽しい一日を送ることができたのは、手紙やみんなが誘い合って来た結果であることを感じ取らせたい。

 入門期の指導は、一人一人の考えに寄り添いながら、「言葉との幸せな出会い」を一人一人の子どもの心に刻み込みたい。 
(京都女子大学)