自己評価・相互評価の基礎を
好 光 幹 雄

 音声言語においては、伝え合う相手に応じて臨機応変に対処することが求められるため客観的な評価が難しい。しかし、この評価の壁を越えなければ音声言語の指導は曖昧なままで終わってしまう。
 そこで、音声言語の評価を主観的なものから主観と主観の間に共有されるものとして客観的に認識することが求められる。例えばリンゴの味を客観的に説明することはできないが、皆がリンゴをかじり味を共有することはできる。これと同じようにこの間主観的に共有される評価規準によって学習の練り合いや高まり合いが進められると考える。

〔実践〕
 子どもたちが意欲的に学習をするために、クイズ番組形式を取り入れた。クイズを出す人と、スタジオに来ているお客さんという場面を設定したのである。こうすることでクイズを出す児童は、聞き手を意識して相手に伝えようとする。また、お客さんの役になっている児童は、クイズに参加するとともに、クイズを出す人の発表の仕方をめあてと照らし合わせて評価し、アドバイスすることができる。

(1) 「ビーバーの大工事」(2年東書)で「どうぶつワンダーランド」の番組作りをする。
 ・ビデオ(教師作成モデル)を見て学習の見通しを持ち、クラス全体でクイズを作ってみる。<1時間>
 ・グループごとにクイズを作る。 <4時間>(6グループを3つのペアにする)
 ・発表会をして互いの良さを見つ け合う。 <2時間>
(2) 各グループで「生きものワンダーランド」の発表会をする。
 ・題材のオリエンテーションと選択。 <1時間>
 ・シナリオづくりをする。 <2時間>
 ・番組練習をする。 <グループごとの練習4時間とペアグループで相互評価の練習2時間>
 ・発表会  <2時間>

〔成果と課題〕
 ビーバーの大工事でクイズ番組の作り方を学び、選択教材でクイズ番組を作る単元計画によって、指導のポイントが絞れた。また子どももこの時間は何をするのか見通しが持て主体的に学習に取り組めた。
 子どもの自己評価や相互評価のやりっ放しではなく、学級でその評価のあり方やレベルを練り上げていく過程がやはり重要であると再認識した。これは一度や二度で達成できるものではなく、繰り返し学級の財産として維持発展させていかなければならない。そのためには指導者自身が評価規準に対する理解と指導方法を研鑽していかなければならない。
(大津市立堅田小)