楽しくディベートしよう
海 東 貴 利

 ディベートでつけたい力は、筋道を立ててきちんと話す力、話の内容を正確に聞く力、メモを取りながら話の要点をとらえる力、情報を集め、効果的に使う力、友だちと協力して、楽しく学ぶ力である。

 最初は、4人でディベートを行った。論題に対して賛成側、反対側にそれぞれ1人ずつ分かれ、残りの2人は判定者になり、順次役割を交代していった。このときは『遊びに行くなら、海よりも山がよい』を論題に行った。教師が司会となって、立論の仕方や質疑応答、ディベートの流れを確認しながらすすめた。
 子どもたちは、「絶対勝ちたい」「質問するところが楽しい」と関心は高く、熱心に話し合いに取り組んだ。後の感想では、「○○さんの説得力のある話し方はまねしてみたい」「次回は、絶対相手に勝ちたい」と、次の活動に意欲的だった。

 子どもたちのこうしたディベートにひかれるものを大切にしつつ、つけたい力をさらに伸ばすために、次のような支援をした。
 まず、ディベートでの役割を簡潔にした。子どもたちが全員ディベートに積極的に参加することや相互評価することに重点におくため、司会は教師が行うことにした。
 また、ディベートの論題を厳選し、ディベーターも判定者も作戦や話し合いの展開を考えられるように、ルール・進行や論題を表にして、教室に提示した。今回は、『住むなら都会よりも、田舎の方がよい』『図書室にマンガを置いてもよい』『ニュースを知るにはテレビよりも新聞の方がよい』を論題に選んだ。そして、立論をワークシートにまとめ、相手側の質問やその応答を予想しながら作戦を考える時間を十分に取った。
 ディベートは「ディベートまでの準備で、すでに勝負が決まっている」といわれるくらい事前の資料収集が大切になる。この資料収集も大切にした。子どもたちはクラスメートや先生に積極的にインタビューしたり、アンケートを採ったりして資料を集め、表やグラフにまとめた。

 本番では、立論、質問、応答、最終弁論などの役割を分担し、説得力のある話し方をして相手を論破しようと熱心に取り組んだ。判定者は、ワークシートにメモを取りながら、ディベーターが論理的に話すことができているかどうかを適正に評価し、判定することができた。

 今回の学習では、普段のスピーチやインタビュー活動など、これまでの学習経験が生かされた。根拠に基づいた話し方ができるようになるためには、こうした活動の積み重ねが大切であることを改めて感じた。
(安曇川町立青柳小)