第15回「新しい国語の授業」研究会・合同研究会 にて
西 村 嘉 人

 8月9日早朝、台風10号は滋賀県の真上を通過した。暴風警報が発令されている最中に自宅を出、研究会の会場である「KKRびわこ」に向かった。
 台風一過とはよく言ったものである。研究会が始まる午後には青空ものぞくほどに天候は回復した。

研究会1日目
 さざなみ国語教室の蜂屋先生とかつらぎ会の柿坂先生の提案。
 蜂屋先生の提案は、「三色ボールペンで読む日本語」(齋藤孝)に刺激を受けた実践例。サイドラインを引きながら、「ヒロシマのうた」「川とノリオ」を読んでいくというもの。国語科の学習指導という点からは、もっと細やかな工夫が必要だと感じたが、なかなか意欲的な実践報告であった。

 柿坂先生の提案は、中3生に「擬態語を通して豊かな言語生活を」考えさせようとする実践。こういう国語の授業が中学3年の教室で実践されたなら、子どもたちは本当に豊かなことばの遣い手になっていくであろうなと感じた。多くの提案資料から、子どもたちが楽しんで言葉の学習に取り組んでいる様子がよく分かった。小学校でも、レベルを考えながら是非取り組んでみたいと感じた提案であった。

研究会2日目
 今年度より富山大学教授になられた米田猛先生(かつらぎ会代表)の講演。
 「伝え合う力」と「読むことの指導」について、今、課題となっていることや今後の課題解決に向けて、示唆の多いお話を聞くことができた。私の勤務する学校でも子どもたちの「話すこと・聞くこと」が常に話題に上る。「話が聞けないので、話を聞かせ!」という内容である。米田先生の「受動的な聞くから能動的な聞くへいかに転換を図っていくか、その方法論を考えていくことが今後さらに重要になる」の言葉に、校内にどのようにこの方法論を発信しようかと思い悩む日が研究会後続いている。

 研究会の締めくくりは、吉永幸司先生(さざなみ国語教室代表)の「研究会の課題と成果」の講話であった。
 今の教育のキーワードとなる「最低基準」「発展」という視点から授業は変わろうとしているのか、授業構想の視点を変えなければいつまでたっても「分かったか?」の授業である、との厳しい指摘があった。

 研究会終了時は昨日の台風を忘れるほどの晴天。すっきりした気持ちで2日間の研究会を終えた。
(彦根市立城南小)