言葉の指導が国語の力をランクアップするように
森  邦 博

 第8回「新しい国語実践」の研究会北海道大会には、「言語事項」分科会に参加した。実践提案は小学校1年生、4年生、5年生、そして中学校1年生と、学年の幅も7年離れている。また提案は、実践の領域が、音声言語・説明文を書くこと・語彙指導と大変幅広く、私は、当分科会の司会者を仰せつかったことでもあり、討議がう まくかみ合うか悩ましい思いを持った。

 幸い第1日目の懇親会の席で、助言者の廣井嗣雄、安藤修平両先生との軽い打ち合わせにより、
@言語事項の指導は単元の指導過程の中で、「いつ」「どのように」「なぜ」すると効果的なのか?
A言語事項の学習の評価を、単元の指導過程・指導計画の中にどう位置付けるか?
を協議の柱とすることに決めた。

 言語事項の指導では、漢字の指導などのように、(A)言語事項そのものを取り上げて学習指導する場合と、(B)単元の指導過程の中で言語事項の指導事項を取り上げて学習する場合とが考えられるが、実践提案内容との関連からは(B)が協議の中心となると考えられるからである。

 国語の学習活動は、たとえば子どもが音読活動をしているときに、音声・発声、文字、表記、語句などの言葉に関する事項や、文や文章の構成、言葉遣いに関する事項などの言語事項の技能の向上や知識理解の深まりが関わっている。

 しかし、文章の内容理解に目がいき、言語事項にまで留意せずにいると、楽しくあるいは、何度も音 読している子ども自身に、どのような言葉の力(=言語事項の内容を含めた読むことの力)がついているのかを振り返らせることが抜けてしまっていることが多くなる。

 だから、どのような言語の指導が図られたから音読活動による読むことのランクアップが見られたのかと、授業を見る観点を持ち、「なぜ」ここでどのような言語事項の指導が必要なのかを、明確に語れるようにしたいものである。

 廣井先生のご助言では、「大造じいさんとガン」「大造じいさんのガン」を検討することにより、「と」と「の」の言葉の働きに目を向ける学習が動き出し内容理解が深まった。内容の追究オンリーの国語学習を言葉の働きに着目した読みの深まりに変容させるというご提案が、安藤先生のご助言では、自己評価を記号化している場面を見るが、同じ○評価のA児とB児とを同じと見るのではなく、「解釈すること」が大切であるとのご指導が心に残っている。

 協議の柱@Aは、私自身の授業を見る観点として、また、両先生のご助言、ご指導を実践を通じて生 かすことという宿題をいただいた。札幌市内を流れる豊平川間近の中島公園の池を渡るさわやかな風を受けながらそう考えた。
(大津市立中央小)