物 語 教 材 の 「 読 む 授 業 」
蜂 屋 正 雄

 8月9日、第15回「新しい国語の授業」研究会(かつらぎ会との合同研究会)で提案をさせていただく機会を得た。

1.実践の意図
 学習指導要領の「読むこと」に「文学的な文章の詳細な読解に偏りがち…」とあることから、軽視されがちな「読むこと」について、「読むこと」も大切であるという立場から、新しいことをしてみたかった。今回、「三色ボールペンで読む日本語」(齋藤孝著・日本文芸社)という本をヒントに、能動的に読む学習活動を試みた。
 三色ボールペンの代わりに三種類の線を引きながら読む活動をする。三種類の線とは以下の通りで、
 @□(箱で囲む):話を読む上で誰が見ても重要(最重要)
 A――(実線) :まあまあ重要
 B〜〜(波線) :自分の中では重要(心に残ったところ)

第一段階 簡単な短編小説に線を引くスキル学習。
第二段階 「ヒロシマのうた」(東京書籍6年上)に線をひき、交流する。
 子どもたちは「線を引かねばならない」という意識から、普段より能動的に文章と向かい合えたと思う。

2.提案について
 このような提案について、かつらぎ会、さざなみの方から様々なご意見をいただいたが、自分なりにまとめると、
◆最重要や重要なポイント見つけさせる作業が入ることで、結局、読解に偏りがちな「要約」をさせている。
◆説明文や論説文ではいいかもしれないが、物語文でこの読み方はふさわしくないのではないか。
◆波線だけを扱うなど、ポイントを絞った方がよかった。
◆戦争教材ということを意識しすぎである(人の生き方など)。一文学教材として考えたら、もっと他の方法があったのではないか。
というような内容であった。
 私自身がいろいろと欲張ってしまい、「子どもたちの心に残ったシーンの交流」という一番大切にしたい活動を十分にできなかった理由が見えたような気がした。

3.これから
 説明文・論説文・物語文など文種別に線の引き方を分けて指導できるようにする。具体的に言うと、今回の教材では、波線を引いたところのみを扱えば十分だったように思う。また、要約的な部分(□や−)も必要な部分はおさえておきたい。
 参考にした本に書かれている「この読みかたの良い面」が実現できることを目指して、「弱点」も見極めつつ、しばらく、線を引きながら読むことの学習に取り組んでいきたい。
(草津市立笠縫東小)