ス マ ー ト な 漢 字 学 習
好 光 幹 雄

 指導要領の改訂により、該当学年で習った新出漢字は、繰り返し学習し次学年終了までに書くこととなった。
 これに伴い、少なくとも私が受け持っている2年生の現場では、次のような状況が生じている。

 某出版社の教科書では、2年生に配当されている160字中、1学期に出てくる新出漢字が84字と1年間に学習する半数以上を占めている。教科書を中心に学習を進めていけば、やはり1学期にこの84字の新出漢字の学習を一通りしておかなければならない。
 しかし、4、5月は学級作り、家庭訪問、健康診断等々であっと言う間に過ぎてゆく。ようやく学習が軌道に乗りスムーズに進むようになってきた頃にはそろそろ1学期の成績づけをしなければならない時期になる。漢字の学習だけは子どもにも保護者にも進んでいるかどうかが歴然と分かる。大抵の教師はやはり新出漢字の学習を優先する。1日に、3字、4字と漢字の学習にラストスパートがかかる。つまり、国語の授業イーコール新出漢字の学習時間となってしまうのである。
 楽しく作文を書きたい、おもしろい本をどんどん読みたい、音読大会をしたい等、教師の願いはあっても、子どもを無味乾燥な漢字の学習へと追い立ててしまうことになるのである。

 そこで、このような教科書の編集では現場は大変混乱すると某出版社に相談したところ、指導要領の改訂に伴い従来の編集方針を変え、あえて1学期にたくさんの新出漢字を持ってくるようにしたという説明を受けた。その理由として、新出漢字を繰り返し学習し習得していくためには、該当学年の早い時期に教科書に取り上げ、2学期以降に繰り返し学習をしてもらうことができるようにということである。

 しかし、これは現場を知らない机上の編集方針である。
 大切なことは、子どもたちがどれだけ漢字に興味を持ち、進んで楽しく漢字の学習を進めていけるかである。そこで、私は従来より教科書と新出漢字の学習は別であってよいと主張してきた。漢字嫌いを作るか否かは低学年が勝負である。2年生のはじめから「曜」など画数多い字が出てきたら大抵の子は面食らってしまう。画数の少ないものから順次画数の多いものへと系統性を考え整理して学習を進めていくことが大切である。その意味では、1年生に「校」を2年生に「交」を配当している漢字配当表自体にも問題がある。
 いろいろな縛りのある中、スマートな漢字の学習方法を工夫し、現場の同僚をはじめ関係機関等にアピールしていきたいと思っている。
(大津市立堅田小)