スピーチ練習 〜 自分の声を聞いて練習しよう
海 東 貴 利

 朝の会に、1分間スピーチを取り入れている。この時間で、子どもたちにつけたい力が3つある。1つは、自信を持って話せるようになること。2つ目は、思いやりを持って話が聞けること。そして話すこと・聞くことが楽しいと思えるようになることである。

 第一の段階として、必ず発表原稿を書かせている。グループごとにストップウォッチを持たせ、原稿が書けた子どもから、それが1分間で話せる内容のものかどうかスピーチしてみた。ストップウォッチで計測することで、子どもたちは1分間の原稿量がわかるようになってきた。発表では、キッチンタイマーをおいて発表をしているが、ほとんどの子どもたちが1分間で話せるようになった。

 第二段階として、1人2回ずつスピーチ発表をしたところで、話し方について振り返ってみることにした。ただ1分間話すことだけを目的に取り組んだために、子どもたちの話し方は早口になっていた。

 毎日2人ずつの発表で、7月までに1人3回のスピーチを経験した。3回目の発表では、2回目よりも少しレベルアップをはかろうと、話す声の大きさや速さに気をつけてスピーチすることにした。発表前日の放課後の時間を使って、録音してリハーサルを行うことにした。リハーサルでは、聞き手の教師が単にアドバイスするだけでなく、話し手自身が話す声や話す速さなどを、実際に自分の耳で聞いて確かめた。

 一緒にリハーサルしていた友だちから、「よく通る声だね」とか「少し聞き取りにくいんだね」と声の特徴についてのこともでてきた。「やっぱり僕は、速いんだな」とか「ゆっくり話す方が分かりやすいな」と、友だちのスピーチと比べて、自分の話し方を振り返り、もう一度個人練習に取り組む姿も見られた。リハーサルのあとは、発表に向けて自信をつけた表情をしていたように思う。

 自分の声を自分で聞くことが恥ずかしくて、素直に振り返ることができない子もいたが、発表では前回よりも聞き取りやすい速さで話せるようになった。自分の声を録音することで、自分の話し方を客観的に自己評価することができた。放課後を利用した短時間の活動ではあったが、今後もビデオなどを活用しながら、スピーチ発表の上達に向けて続けていきたいと思う。

 自信を持って話せるようになるためには、少しずつ段階を追って練習していかなければならない。毎回のスピーチの時間が形だけで終わらないように、いつも各自の課題をはっきり持たせて、数多くのスピーチの機会を作っていきたいと思う。
(安曇川町立青柳小)