国 語 辞 典 の 名 人 に な ろ う
西 村 嘉 人

 国語辞典が子どもたちの手元に届いたので、早速、「国語辞典の名人になろう」と呼びかけて国語辞典を使う学習を進めた。
 学習計画は、
 第一次…国語辞典のひみつを見つけよう (3時間)
 第二次…国語辞典を使うコツを見つけよう (3時間)
 第三次…国語辞典を使って文章を読もう (2時間)
 第四次…国語辞典を使って作文を直そう (2時間)
の10時間扱いである。教科書会社の指導時数が3時間であることを考えると、随分無茶な指導計画であるが、使い始めが肝心と贅沢に指導時数を割り振った。

 第一次。子どもたちは宝物を扱うように大事に国語辞典のページを開いた。自由にいろいろなページを開けて「こんなことが書いてある」と興味津々で読みふけった。「手話」や「点字」の説明、色の名前、昔の地名など、魅力的な内容をいっぱい見つけてきた。「国語辞典を読む」面白さの発見である。

 第二次。国語辞典に載っているたくさんの言葉のなかから、言葉を速く見つける学習である。初めの時間は学級全体で、見つけ方の指導を行った。五十音順に並んでいることを幾つもの例を示しながら、一緒に学習を進めた。後の2時間は、とにかく速く言葉を見つける競争である。私は、探すのが遅い子どものそばで個別指導を繰り返す。「国語辞典で速く言葉を見つけるコツ」の体得である。

 第三次。短い文章(B4サイズ1枚に印刷した説明的な文章)を国語辞典を使いながら読み進める学習を行った。意味が分からない言葉を見つけて、ひたすら国語辞典で調べる学習である。「読むときに国語辞典を使う」感覚を身に付けるための時間である。

 第四次。ひらがなばかりの文章を漢字仮名交じりの文章に変換する学習と、以前に書いた作文を読み直して、ひらがな表記を漢字表記に直す学習を行った。「書くときに国語辞典を使う」感覚を身に付ける学習である。

 10時間の学習で、国語辞典を使ったときは、必ずマーカーペンで言葉にラインを引くことを徹底して指導した。調べた言葉が分かるようにするためである。
 今、子どもたちは国語辞典を使うことをとても気に入っている。言葉の意味が分からないと、「国語辞典を使っていいですか」、漢字が分からないと、「国語辞典を使っていいですか」とにこにこしながら尋ねにくる。「どうぞ使っていいですよ」と笑顔で答えている。
(彦根市立城南小)