▼滋賀の5年生が学習船「フローティングスクール」で宿泊体験をするようになって20年になる。乗船児童はすでに32万8千人を越える。かつて乗船校を代表して子どもたちに学習の意味について話す機会があった。その時の話の大意は、この体験がその時だけでなく、大人になっても役立つものであってほしいということであった。

▼このことを思い出させてくれたのは、「私は滋賀県が大好き。そう思い出したのは、フローティングスクールにいって琵琶湖のことを学んだことからだったと思う」という文章に出会ったからである。この文章を書いたのは学生。

▼教職免許必修に「総合演習」がある。「総合的な学習の時間」の指導力を身につけると共に、現代の課題に積極的に取り組むことを目的としたもの。学生が「総合演習」で課題にしたのが琵琶湖の環境のことである。研究の動機は5年生の体験がきっかけであり、その後、気にはなっていたが真正面に取り組む機会がなかったという。

▼少年少女の頃に興味を持った小さな種が(環境問題にどんな取り組みをしてきたかの経緯は定かでない)少しずつふくらみ、課題を選んで研究するという機会を得て、種が弾けたのである。

▼32万を越える彼・彼女達の小さな種はどんな形で弾けているのだろうか。教育成果を測る時間の長さを感じる。(吉永幸司)