授 業 の 導 入 の 知 恵
吉 永 幸 司

1 学習態度をしつける場
 授業の始まる前の教室はどうなっているだろうか。
(1) 今度の学習は何をするかということが分かり、ほとんどの子が自分の座席に着席している。
(2) 半数くらいの子が、休み時間の延長のようにおしゃべりをしたり遊びの続きをしたりしているが、半数くらいは着席している。
(3) ほとんどの子が、休み時間の延長のように遊んでいる。
 授業の内容にもよるが、(1) のようになっていてほしいと思う。
 自分から目的を持って授業に臨むように、学習の躾を繰り返す必要がある。

 低学年では次のようなことを日常的に行う必要がある。
 ・学習に必要な道具を揃えているか。
 ・背筋を伸ばして、話を聞く姿勢をしているか。
 ・指示が正しく聞けているか。
 これらのことが習慣として身に付くまで繰り返し丹念に指導することが最初に取り組むことである。

2 声を鍛える場
 国語の授業では声を鍛えることも大事ではないかと最近考えている。その根拠は、子ども同士の話 し合いや発表の場で、声のひ弱さが気になってきたからである。よい発表をしても、声が小さいため に聞いてもらえなかたり、意図が相手に届かなかったりすることが多い。もし、この子が大きい声で 話ができていたら、もっと内容が充実した話し合いになっていただろうと思うにつけ、声への関心が 高まっていく。

 声を鍛えるということで、「あ・い・う・え・お」を繰り返していた。ある時、短い詩を提示した ら、今までにない表情で音読をしたことが妙に心に残った。それから詩の音読は効果があると考え繰り 返している。
 初めは、一つの詩を提示したが、複数を示すと選べるという要素も加わり幅が広がっていった。
 詩 「かえるのぴょん」(谷川俊太郎)を読み合った時、
  かえるのぴょん
  とぶのがだいすき
と、いうリズムにひかれて気楽に読んでいた子が、
  ぴょん ぴょん ぴょん
  ぴょん ぴょん ぴょん
と普通に読むのではなく、
  ぴょーーーん ぴょん ぴょん
と読んで教室が湧いた。これに刺激されて様々に広がっていった。
 わずか、5分の音読であったが楽しい時間であった。このことが気に入って、音読を続けて効果を上げたことがある。これも導入の工夫であろう。
(京都女子大学)