▼新教育課程が完全実施され、学校に明るさが戻ってきた。教室には明るい子どもたちの会話が生まれてきたし、創意工夫が見られる作品が掲示されている。地域の高齢者が子どもたち相手に話をしたり、一緒に遊んだりして交流が深まっていく。読書生活も日常化してきたし、討論会やスピーチの声も響いている。複数の先生が教室で指導をしたり、学級という壁を取り除いて授業が進められる風景も珍しくなくなった。

▼学力の定着について論議はされているが、視野を広げてみれば、確実に学校は子どもたちに生きる力を育む場所へと姿を変えている。

▼国語科でいえば、話す・聞く活動が積極的に取り入れられ、多くの場で力を鍛えているし、その成果も上がっている。大きな声で話す子も増えてきたし、報告や発表の技能も身についてきている。全校のスピーチ大会を継続的に行うことにより、1年生でも4年生を越えるような力を身に付けてきたという事例もある。

▼すべてが順調にいっているように見えるが落とし穴もある。話す・聞くで注いでいる力は今のところ、技能であり方法である。人間形成という面から考えれば、話し言葉の中にその人の心が刻み込まれていなければ、技能はやはり技能なのであろう。たどたどしくても心をうつ話はある。

▼形は整ったので、次は心を繋ぐものとして書くことの大切さを考えてみたい。(吉永幸司)