話す、聞く学習の質的・量的拡充
川 那 部 隆 徳

 話す、聞く力は、実際に話したり、聞いたりすることによって身につく。しかし、単に話す、聞く活動をしておれば、自然にその力がつくとは考えにくい。話すこと・聞くことの学習では、量的な学習の場を設定するとともに、「何について」「どのように」話したり、聞いたりするのかを学ぶ質的な学習の場を設定することが重要であろう。
 そこで、話す、聞く学習と読書とを組み合わせ、「何について」「どのように」話したり、聞いたりするのかということを明確にした学習を構成した。

 まず、ジャンルの異なった、物語「世界一美しいぼくの村」(東書4年)、説明文「一本の鉛筆の向こうに」(旧光村4年)の2作品の感想を交流し、それぞれの読書カードを作成した。
 そして、様々なジャンルの読書をして読書カードを書きため、話し合いの手引きを示しながら、一対一の対話、一対少人数のグループでの交流等様々な形式の読書紹介の場を設定した。

 物語、説明文、伝記・ノンフィクション各々のジャンル別に、読んだ本を提示(譜面台に本をのせて)しながら読書紹介をした。聞く側は、それぞれの紹介内容を簡単にメモをしながら、その本の注目度を◎、○、△で記録した。

【伝記、ノンフィクショングループの例】(1グループ5名程度)
題名『エイミーのねがい』

C (あらすじの紹介の後)私たちは耳が聞こえなかったり目が見えなかったりすると運動ができないから、うまいこと友達と遊べないと思っていたら、エイミーはみんなと遊んでいる。(本の写真を指し示しながら)おすすめしたいところはこのように友達と遊んでいるところを読んでほしいと思います。読んだ感想は、耳が聞こえないのにすごいなと思いました。質問はありますか。
C すごいと思ったことを詳しく言ってください。
C 耳が聞こえないのにエイミーが友達と同じように過ごして、ボールを蹴ったり、おにごっこをしたりすることも練習するとできるようになるんだなと思いました。


 次時は、グループごとに本の注目度をもとに、特に推薦する本を3冊決め、それを全体の場で発表した。そして、それらをもとにさらに読書を進めていった。
 読書と話す、聞く学習を関連させたことで、話す、聞く内容が明確となり、話し合いが活性化した。
(滋賀大学教育学部附属小)