モデル学習を生かした話し合い
吉 永 幸 司

 話し合う力を育てるには、話し合うことの必然性がいる。もっとも手軽なのはクイズ形式である。互いに知恵を出し合うことで、成果が確認できるとう利点がある。クイズであっても生産性の高いものがいいと考え試みたのが「のはらうた」の活用。
 最初に「のはらうた」の仕組みを説明したあと、次の詩を紹介した。
 (  A   )
     ( B ) いちのすけ
 さんぽを しながら
 ぼくは しっぽに よびかける
 「おおい げんきかあ」
 すると むこうの くさむらから
 しっぽが ハキハキ へんじをする
 「げんき ぴんぴん!」
 ぼくは あんしんして
 さんぽを つづける

 考えさせるのは題名(A)と作者(B)である。この詩の場合は「へびいちのすけ」になる。

 一斉学習の形態をとらず、グループのモデル学習を取り入れた。3人の子を指名し(比較的話し合いが上手という子を推薦してもらった)、進行の手順をその都度説明して話し合いの仕方を指導した。

C 「さんぽ」ってあるから、歩いている動物だと思います。
C 「くさむら」もヒントになるね。

 こんな意見が出たとき、次のような助言をした。「受ける言葉」を意識させることが必要であると考えたからである。
T 「さんぽ」についてどう思っているのかを言ってから「くさむら」を言った方がいいよ。賛成の意見を言うときどのように言いますか。
 この助言のあと、どのような言い方があるのかについて、モデルの話し合いを聞いている子どもたちに尋ねた。
C 「賛成です」と言えばいい。
C 一緒のことを考えていた。
C そのことは思いつかなかったけど、よい考えと思います。

等の言葉がでた。次々とこのような意見が出たのではないが、「受ける言葉」を使えない子どもたちに意識をさせるには十分な話し合いであった。

 話し合いの仕方のモデルを指導したあと、数編の詩を子どもたちに示した。題名と作者名を考えることを目的に話し合いさせた。
 クイズの面白さから、話し合うことのよさを気づかせるにはモデル学習も必要である。
(京都女子大学)