習った漢字を使いこなすために
岡 嶋 大 輔

 普段から既習の漢字を使って文章を書くことができるようと、なるべくたくさんの漢字を使った短文作りとその音読を続けている。

 まずは、クラスの人数分の短文を教師が作った。
「秋晴れの今日、町外れの空き地で父母と夕日を見た。」
「今年は兄弟で新記ろくを出した。」
等、作った話でいいことにした。それらを1枚の紙にまとめて印刷して渡し、しばらくの期間、すらすらと音読できるように家の人に聞いてもらうことを宿題として出した。
 簡単に見える文章でも始めは所々つまってしまう児童も多いが、物語文の音読と同様に喜んで練習し、1週間もすると全員がすらすら音読できるようになった。

 次はみんなで短文作りをしようと呼びかけた。話の内容は嘘やデタラメでもいいから学習した漢字をたくさん使うといい学習になると話した。また、読み替えの漢字や自分が読みにくいと感じる漢字をなるべく使うように考えるとよいこともアドバイスした。児童は、教科書の巻末の漢字資料とにらめっこをしながら文を作っていった。
 短文を作る中で、
「『しんせき』の『しん』って『親』ですか。」
「『こうばん』の『こう』は『交』だったよね。」
「『上京』ってどういう意味なのですか。」
等、「言葉」と「学習した漢字」とを結びつけようとする質問や確認が続く。
「この家の角から風船が上がった。」
「夜中に校門で知人が歌を歌った。」
「丸顔の人は上手に新聞紙を三角に切った。」
等、力作がたくさんできあがった。
 それをまた1枚の紙にまとめて印刷し、すらすらと音読できるようにしていった。

 みんなのためになるように考えて短文作りをしたり、自分たちで作ったものをみんなで練習したりすることが楽しさにつながっているようで、誰もが集中して取り組めている。
 そして、「この言葉はこの漢字を使って書くんだな」ということが頭の中に思い浮かぶからであろう、日記やその他の作文の中に漢字が使われることが増えた。保護者からは、子どもが読めなかった熟語も読めるようになっていくことが目に見えて分かるという喜びの声が届いた。
 さらに「文字」「雨天」「休日」等、学習した漢字でも教科書に出てきていないような熟語が出てくることを楽しみにしている。
(甲賀町立佐山小)