ち ょ っ と ハ ー ド な 学 習
北 島 雅 晴
「全文視写または音読15回のどちらかを選んでします。」 『注文の多い料理店』(東書5年下)の学習の始めに投げかけたことばである。 「え、そんなのできない。」という子どもの反応(かなり長文なので)を予想していたのだが、 「どちらにしようかな。」 「音読、得意じゃないしな。」 ほとんど抵抗もなく、学習をしようという気になってしまったのは意外であった。 【学習のねらい】 〇宮沢賢治のすばらしい表現を見つけること。 〇全文視写または音読15回を行いどんな力がついたかふり返ること。 【学習の進め方】 (1) オリエンテーション (2)〜(8) 視写または音読 (9)(10) まとめとすばらしい表現の交流 *ただし各時間の最後に学習の記録を書く。 全文視写や音読を重視したことには、3つの理由があった。 ・たっぷりと視写や音読をすることで、表現に目を向ける。 ・少し困難な学習もやり抜く。 ・結果として、よく学習したという実感が残る。 音読の姿を見ていると、3、4回ほどは、まだすらすらとはできないが、5回目を過ぎた頃から間違わずに読む子が多くなった。余裕が出てくると、会話文の読み方を考える等、工夫して音読をしようとする姿も見られるようになった。 一方、視写をしている子には、速く正確にできるコツを考えさせた。教科書とノートの位置、一度に教科書の言葉を見る量等に目を向け、考えることができた。調子が出てくると、家庭でも視写のつづきをする子が出てきた。 視写や音読が早く終わった子は図書室に行って、宮沢賢治の本を集めてきた。意外とたくさんあり40冊を越えていたが(絵本や紙芝居も含む)、どんどんと読む姿が見られた。一人が紙芝居を読んで何人かがそれを聞くという学習の仕方も考えた。 特に視写をした子は、ノートを20ページほど使い、「今回はよく勉強したなあ」という感想をもつ子が多かった。 子どもたちは抵抗を示すかと思っていたが、10時間ほど集中してできたのには驚いた。やることが はっきりしていたからであろう。 紳士の表情を表すことばにおもしろいものが多いこと、音の表現を工夫していること等、自分の力で見つけられたのも収穫であった。 (草津市立草津第二小)
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