グループ発表をつなぐ 「一つの花」(光村4年)
川 那 部 隆 徳

 学習の導入にあたり、繰り返し音読し、大体の内容を理解した上で、作品の感想やみんなで考えてみたい内容について話し合った結果、子どもたちは次のような学習課題を設定した。
 (1) 戦争中と十年後の場面の違い。
 (2) 「一つの喜び」とは何だろうか。
 (3) コスモスをわたしたときのお父さんの思い。(戦争へ行くお父さんの思い)
 (4) コスモスのトンネルを見たお父さんはどう思うだろうか。
 (5) まるで戦争へ行く人じゃないかのようにしていたのはなぜか。
 (6) ゆみ子と私たちをくらべる。
 (7) 高い高いをするお父さんの思い。

 そこで、学習課題(1)については、一斉学習で、内容を詳しくつかんだ後、他の学習課題については各々が考えたい課題ごとにグループ(5人以内)をつくって相談をした。そして、その内容を全体の場で、画用紙に記入したキーワードを提示しながら発表し、質疑応答をした。

C <学習課題(7)のグループ発表、キーワード「期待と不安」>
 明るい人になってほしいという期待とさみしい人になってほしくないという不安の二つが混じり合っていると考えました。めちゃくちゃ高い高いをするお父さんはそんな不安を吹き飛ばそうとしているのだと思います。まとめると、お父さんはゆみ子の将来に、期待を持ち、また、不安も感じている。そしてできれば、明るい幸せなゆみ子になってほしいと思っていると思います。

 これをきっかけに、すでに発表を終えた他グループの発言が続いた。

C <学習課題(2)> 不安というのは、一つだけの喜びと関係すると思います。「一つだけちょうだい」が口癖となっているゆみ子は、一つだけの喜びしか知らないわけで、「全部ちょうだい」と言わないゆみ子は、将来さみしい人になるのではないかとお父さんは心配していたのだと思います。

C <学習課題(3)> 戦争へ行くときにゆみ子にわたしたコスモスには、お父さんの期待が込められていたのだと思います。

T じゃ、十年後、お父さんの期待はどうなったと思いますか。

C <学習課題(4)> ゆみ子は明るい子どもに成長していて、お父さんの願いがかなったと思います。 だから、コスモスのトンネルを 見たお父さんは…(後略)

 各々のグループ発表にとどまるのではなく、それぞれの内容を踏まえた上で関連づけた話し合いが成立した場面であった。
(滋賀大学教育学部附属小)