自己評価と他者評価を積み重ねた表現活動
海 東 貴 利

 2年生で分かりやすく話すことをねらいとした授業。
 『たんぽぽ』(東京書籍2年上)は読みとったことをもとに、「たんぽぽガイドさん」になって説明していくという単元である。読みをより確かなものにし、読む力とともに話す・聞く力を育てることを意図する指導計画を立ててみた。

 これまでの実践で、朝の自習時間に発声練習や音読練習をしたり、音読発表会を開いたりして、自分自身の話し方を見直す機会をつくってきた。結果、4月当初の様子と比べると、少しはみんなが聞き取りやすく話せるようになってきた。また、音読発表会を開いたことで、友だちの発表を聞いて、観点に従って評価することもできるようになってきた。
 しかし、せっかく友だちが評価したことを、子どもたち自身の次の学習や活動に十分生かすことができなかった。そこで、評価することを継続的に行ったり、評価者を身近な人に設定したりして、評価をしっかりと次に生かせる授業、またその評価を生かすことができたかどうかを自分自身でも実感できる授業にしようと、この実践に至った。

 ワークシートを使いながら、本文を読みとらせ、発表原稿を書かせたあと、発表の練習をくり返した。たんぽぽについて説明する相手(聞き手)は同じクラスの児童と自分の家族とし、聞き手は同時に評価者にもなってもらった。評価を参考にしながら、発表原稿を推敲したり、話す練習をしたりして、よりよい発表をめざした。最後は、自分のスピーチの声をテープに録音し、自己評価した。
 友だちを評価者にして発表した後、はじめの原稿では見られなかったキーワードを評価を参考に推敲したことで、分かりやすく発表原稿に使った子どももいた。家族に評価してもらった後の子どもたちは、いつも以上に、アドバイスや感想をじっくり読み、評価のコメントを大切にしようといていた。もっと分かりやすく説明しようと何度も練習する姿も見られた。学習の後半になると、聞く相手を意識した話し方や声の大きさで話すことができるようになってきた。また、自分の声をテープで確認できたことで、「こんな話し方でみんなに発表しているんだな」 と自覚できたように思えた。そして、何よりも、子どもたちは話すことを楽しむようになってきていた。

 ただし、発表原稿を書くために必要不可欠な本文の内容の読みとりに不十分さがあり、教師の細やかな指導もこれからの課題である。次回の話す活動でも、自己評価できる工夫をし、今回の子どもたち一人ひとりの発表と比べることもしてみたい。そして、子どもたちが学習の「のび」を実感できたり、達成感を感じたりできるようにできればと思う。
(大津市立仰木の里東小)