「 言 葉 の 力 」 を つ け る 授 業
池 嵜 繁 伸

 『学ぶ楽しさ (向上のよろこびと手ごたえ) にかがやく新しい国語科の授業・確かな評価を求めて』のテーマのもと、第13回新しい国語の授業研究会が開催された。

 実践・研究発表Tの発表者は、着実に子どもたちに言葉の力をつける指導で定評のある、山田定子先生(近江八幡市立武佐小)。
 「1年間の歩み」という、昨年度担任された1年生での継続した取り組みの発表である。
 個人差の大きい子どもたちの実態を踏まえ「自分の言葉で思いや考えを表現できる子」をめざし、次の2点に留意した授業を進めてこられた。
 *言葉の力をつける。
 *書くことに慣れ、書く力をつける。

 具体的に、3つの目標が設定されている。
 ・すらすらと音読できること
 ・本文を正しく視写できること
 ・学習したことを絵や簡単な文でまとめられること

 これらのねらいを達成するための手だてとして、
 ○学習の足跡のわかるノートづくり
 ○言葉を広げる(語彙を増やす)
 ○簡単な説明文を書く
 ○言葉の学習を繰り返す
それぞれの指導の工夫について、子どものノートや作品等をもとに発表された。

 特に、ノートづくりがこの実践の大きなポイントの一つである。教科書の本文と同じマス目のワークシートを作成し、視写をさせる。これをもとに学習を進め、吹き出しや行間への書き込み、学習のまとめ等に活用する。
 1時間毎の学習の足跡が残せ、単元毎に絵本のような冊子ができあがる。そして、それを綴じ合わせて1年生の1年間の歩みを目に見える形で示すことができるのである。子どもたちは、自分の学習の足跡に成就感や自信を抱き、次の学習への期待や意欲をふくらませていった。

 もう一つのポイントとして、「言葉の学習を繰り返す」ことがあげられる。常に「言葉を大切にする」 「言葉の力をつける」 という意図のもと、繰り返しの指導による基礎力の徹底が図られている。  例えば、視写した文の中から、助詞、促音、拗音、長音、句読点などを見つけ、種類毎に色を変えてマルで囲む学習活動。これを毎時間、繰り返し行うのである。

 「1年間の歩み」の中で「言葉の力」がついたよろこびと手ごたえを、子どもたち一人ひとりが感じている。これこそが国語科の「学ぶ楽しさ」なのである。
(県立びわ湖フローティングスクール)