「 話 す ・ 聞 く 」 二題
伊 庭 郁 夫

 4年生で初めての参観日。転入生があり、3クラスになった状態である。全員に「話す・聞く」出番を設定しようと「他己紹介」をすることにした。「他己紹介」は保護者にクラスの子どもの良さを知ってもらう場でもある。
 大切なのは、グループ分け。誰が誰を紹介するかである。できれば、普段から慣れ親しんでいる子ども同士がよい。お互いの良さをよく理解しているからである。2人から4人の範囲で、お互いに紹介し合うグループを作る。うまくグループが作れるように「入れてあげては」など声をかける。

 次に、紹介のメモを作る。2種類の形式を示し、選択させる。
 (1) わたし(ぼく)は○○です。
 (2) ○○さん(君)のよいところを 紹介します。○○さんのよいところは○つあります。
  まず、ひとつ目は、〜です。
  二つ目は、〜です。
  三つ目は、〜です。
 (3) ○○さん(君)のがんばっていることは、○○です。
 (4) とっておきの話は、○○です。
 (5) これで、○○さん(君)の紹介を終わります。

 この、形式と共に、(2)の「よいところ」を自由に発表する形式を用意した。
 一度、この形式で書いた後、時間をおいて書き加えさせる。
 親切な行い、スポ少での活躍、趣味や特技など興味深い内容が一杯であった。
「とっておきの話」で、「へそくりをしていることです」という発表があった時は、爆笑であった。また、「代表委員でがんばっています」という発表があれば、「Aさんが作った議題箱です」など補足するのが教師の役目である。

 「話す・聞く」のもう一つは、1枚の絵を見ての「実況中継」。題材は「町に大きなかばが来た」である。町に大きなかばが来て大騒ぎをしている。1枚の絵の中に放送記者がテレビカメラに向かって報告している場面が描かれている。
 まず、ノートに話す内容を書く。
 3ページ、4ページと一枚の絵から話をふくらませる子どもがいる。その原稿をもとに、ノートを見ないで実況中継するわけである。実際に、ビデオカメラを設定し、雰囲気を出す。子どもたちもいろいろな工夫をする。
 ・「大変です。かばが大暴れしています」のようなニュース形式。
 ・「臨時放送をお送りします」のように番組に割り込む形式。
 ・「かばはどこから来たのでしょうか」「このかばは、動物園から逃げ出したようです」のようなインタビュー形式。
 子どもの発想は柔軟で楽しい。
(安曇川町立安曇小)