読 書 に お け る 地 域 と の 連 携
常 諾 真 教

 第39回滋賀県学校図書館研究大会が、11月16日、守山市を会場に開催された。
 玉津小学校では、「全校おはなし会」と各学年の授業が公開された。特徴的だったのは、公立図書館や地域の方々の参画である。

 「全校おはなし会」では低・中・高学年別に6つのグループに分かれ、6人の「玉津ひばり文庫」の方が読み聞かせをされていた。高学年の子どもたちもじっとお話に聞き入っている姿が見られた。
 3年生の公開学習「玉津の昔話を紙芝居にしよう」では、まず地域の方からお話を聞き、紙芝居を作る過程で、市立図書館の司書の方のブックトークを聞いたり、ひばり文庫の方に紙芝居をしてもらったり、さし絵作家の方から絵についてアドバイスをもらったりしている。本時は、お世話になった方々を招いて、できあがった紙芝居を演じ、さらによくするためのアドバイスをもらっていた。もう一度練習をして、2年生に見せるのが子どもたちの目標である。
 5年生の「お話しプレゼント」は施設のお年寄りや保育園・幼稚園の園児たちに「おはなしCD」を作って贈る活動である。ここでも子どもたちは、朗読ボランティアやひばり文庫の方から、朗読の仕方を学んだり、聞いてもらったり教えてもらったりしている。

 「公立図書館・学校・地域の連携」をテーマにした分科会では、豊田守山市立図書館長のお話が参考になった。
「子どもたちの読書を活性化するには、公立図書館と学校図書館と地域のボランティアとが、それぞれ一辺となる正三角形を作り、それを底面とした三角柱をできるだけ高くして、その三角柱の中にたくさんの子どもを入れていくことである。」
 このお話を聞きながら、今、一番短い辺、つまり活動できていないのは学校図書館ではないかと思った。地域のおはなし会の方も、学校から声をかけてもらえば、いくらでも協力できるが、自分たちの方から学校へ言っていくことはできないと話されていた。どのように連携を築いていくかは、やはり学校次第なのである。

 午後は、守山市在住の児童文学作家今関信子さんの講演があった。その中で印象に残ったのは、
「よく知っているから書けると思ったが、新しい発見がなければ、文章は書けない。」
というお話である。私たちは、教室で子どもたちに、「よく知っていることだから書けるだろう」と考えて作文を書かせていることが多い。発見も感動もないのに、子どもたちが生き生きと文章を書けるはずはないのである。
(中主町立中主小)