<全小国研公開授業>
物 語 で 伝 え 合 う 学 習 を
西 村 嘉 人

 第29回全小国研滋賀大会で私が公開授業で与えられたテーマは、「1年生の子どもに物語文で伝え合う学習をすること」である。
 しかし、1年生の子どもたちが10月にできることと言えば、「声に出して文章を正確に読むこと」「お話の大体が言えること」ぐらいである。各自が読みの視点をもって文章を読み解き、「わたしの読み方」を伝え合うような学習は到底できない。

 悩んだ末に、結局、できることを1時間の学習のなかで組み合わせることにした。
 第1次の3時間は、「サラダでげんき」の音読のみ。子どもたちと、「今度会うまでに、担任の先生と自信満々になるまで音読の練習をしておくこと」と約束を交わした。

 さて公開授業の当日である。
 子どもたちは、
「先生、本読み上手になったよ」と自信満々である。自信満々の子どもたちの勢いで、1回目は子どもたちだけで、2回目は一緒に音読をした。
 この後が「伝え合う」学習である。「りっちゃんが教えてもらったことを○○さんにお話ししよう」を課題に話す学習に入った。 話す相手は「西村先生」か「担任の先生」である。お話ししたい人の方を向いて、聞こえるように話す学習である。

 C サラダにかつおぶしをいれるといいですよ。
 C サラダにハムをいれるといい。
 C すずめ。(T ○○が…)
 C とうもろこし。(T ○○を…)
 C 入れるといい。
 T そう、上手に言えたね。
 C ありが、さとうをいれるといいですよって、おしえてくれました。
 T 一度に全部言えたね。えらいね。
 C うまが、にんじんをいれるといいですよって、おしえてくれました。(後略)

 難しいことは一つもないことばの学習である。「読むこと」が楽しくて「話したい」ことがたくさん見つかればよいと考えた1時間の授業である。

 後日、担任の先生が送ってくださった子どもの感想の一部である。
「にしむらせんせい、りっちゃんはおかあさんがげんきになるように、サラダをつくったから、やさしいこだとおもいました。」
 私の授業の後を受けて、担任の先生が子どもたちと「文中に書いていないことを見つけて伝え合う学習」を展開された成果である。子どもたちは、お話から見つけることが得意になったようである。
(彦根市立城南小)