<全小国研公開授業>
デ ィ ベ ー ト の 授 業
伊 庭 郁 夫

「子どもの持っていた資料を下さい。」
と授業後、声をかけられた。聞くところによると、福井や福岡等から来られた先生。
「よかった」と帰り際、声をかけて下さった先生。
「先生、また来て下さい」と授業後話しかけてきた6年い組の子。他にも、様々な反響があった。
 私にとって、これほど大勢の方に授業を見て頂いたのは初めてである。ある知り合いの先生は、「人が多くて近づけなかった」と言われた。

 本時を含めて、全6時間の授業。
 1.話す聞くについて自己紹介
 2.即席ディベート体験
 3.ディベートのねらいと役割
 4.「ニュースを知るには、テレビがよい」についてディベート
 5.「遠くの友達に学校の様子を知らせるには電話がよい」についてディベート
 6.「運動会の記録を残すには、ビデオがよい」についてディベート (本時)

 授業で配慮したことは、次の点。
○「ディベート」を教えるのではなく、「ディベート」を通して、論理的思考力や話す・聞く力をつける。
○「話す・聞く」の領域なので、「アエイウエオアオ」等の滑舌訓練を取り入れる。
○全員がディベートを何らかの形で体験する。「ディベーター」「司会」「コメンテーター」等。
○同じ班の中で、ディベーターに対し、付箋を利用して応援をする。
○論題は、「反対側」が多様な観点から反論できるものにする。
○論題について、共通の土俵に乗せるため、「附属小の運動会」のビデオを1分間程見る。
○全員参加を促すため、聞く側は、ディベート・フローシートに記録をする。ディベーターは、「メモが取りやすい話し方」に気をつけさせる。メモを取る側は、ディベーターの話が速すぎたり、声が小さくてメモできない場合、手を挙げて合図をする。ディベーターは、その反応を見て、話し方に気をつける。
○審判は、説得力やマナーを中心に判定する。また「感心した人」をメモし、良い点を発表させる。
○勝ち負けにこだわらない。勝つことが良いこととは限らない。負けたことが、次回の改善点に結びつくことを指導する。
○コメンテーターは、どこが良かったかを講評する。
○計時は、「あと、何秒」等のカードを示し、時間を知らせる。

 すべての子どもの可能性を引き出したとは、言い難い。しかし、社会科でディベートを経験している野村学級に改めてお礼を申し述べたい。
(安曇川町立安曇小)