「音読」で「考える力」「伝え合う力」を
西 村 嘉 人

 4月の「ヤドカリ探検隊」以来、「音読」を学習活動の中心に置いて学習指導を展開してきた。
 子どもたちには、すらすらと詰まらずに「音読」できることが学習目標の第一であることを指導してきた。そして、「すらすら音読する」ために、
(1) 新出漢字や読みかえ漢字などの読めない漢字を、自分で調べて読めるようにすること
(2) 意味の分からない語句や、文脈の中で意味を捉えることができない語句を辞典で調べること、
の2つの学習を国語の基礎学習として位置づけてきた。この2つの基礎学習を子どもたちが積極的に行えるようにするため、導入段階での範読を止め、子どもたちの音読から学習を始め、「読めない」こと「意味が分からない」ことを自覚させるようにした。
 「読めるようになってきた」「意味が分かるようになってきた」という学習の実感を大切にしたいと考えたからである。

 6月下旬に行った「麦畑」(光村五上)の学習では、「考える力」「伝え合う力」を「音読」を中心とした学習でどのようにつけていくかを考えて指導を進めた。
 第一次では、音読を繰り返しながら、「いいなあ」「きれいだなあ」と感じた表現に注目し、傍線を引く学習を3時間行った。
 第二次では、「音読発表したいところ」を選び出し、視写したり、音読の工夫点を書き込んだりしながら、音読練習を3時間行った。
 第三次では、互いの音読発表を聞き合い、相互評価しながら表現のよさを味わう学習を行った。

 第一次の学習で大事にしたのは「いいなあ」「きれいだなあ」と感じて傍線を引いた表現を交流する時間である。短い話し合いを通して「何となくいい」から「確かにいい」へと考えを深めるきっかけを作り出すための支援を十分に行った。
 第二次では、「音読する場所を選ぶ」こと、「音読の工夫をする」ことで、「考える力」をのばすことをねらった。音読発表で「どこ」を発表するかを決めることは「作品のよさ」を自分がどう捉えているかを表すことである。そこへ音読の工夫点を書き込むことは、自分の読みとりを表すことになる。しかも、「相手意識」を伴った「思考」をしなければ「音読発表」できないのである。
子どもたちは、友達のアドバイスを受けたり、工夫点の書き込みをしたりと充実した学習時間を過ごした。
 「音読」を学習活動の中心に置きながら、「考える力」「伝え合う力」をつける学習指導をこれからも工夫したいと考えている。  
(彦根市立城南小)