徹底した音読実践と全小国研大会への期待と
森  邦 博

 今夏の「新しい国語の授業」研究会のテーマは「これからの国語」。新教育課程全面実施を来年度に控え、待ったなしの中で、「これから」のあり方を求めた研究会であった。

 西村提案の基底に流れているのは 、子どもに国語(言葉)の力を付ける国語科の使命を自覚した実践のあり方への意識であった。「ひたすら『声に出して読むこと』を楽しめる子どもを育てたい」というもの。音読活動を繰り返し継続することを通して、何が育つかについての言及に注目したい。

(1)「ヤドカリ探検隊」では、音読5時間目に「子どもの読み方が質的に大きく変化した」との見とりがある。

(2)「われは草なり・海雀」では、「暗唱を繰り返し」「覚えられることが分かってくると子どもたちの学習は勢いづく」との見とりが記録されている。

(3)「大陸は動く」では、「速い音読」を子どもから言い出したと記録し、速い読みにも「殆どの子どもがついてこられる」学級の育ちの見とりがある。

(4)「麦畑」では、「先生音読しよう」と子どもが活動を提案している。そして、「練習で聞き合っているうちに『ゆっくりの方がいい感じ』と言い合える」までに言語の感覚が育っていることの見とりが記録されているのである。

 1学期間の「読むこと」の学習を音読を軸に継続実践したことの提案での、子どもの育ち・変化の様子からは指導の確かさがうかがえる。
 惜しむらくは一人の子どもの観察記録がほしかった。どのように変化したのかを知りたく思ったからである。
 1学期間を振り返ることで見えてきた言語の力・感覚の実態の変化をふまえて2学期を展望しようとしているが、このように子どもの育ちを絶えず見とり評価して次の指導を構想すること、指導計画を子どもの育ちの視点から見直し続けることの大事さを改めて教えられた。

 レポート前段では「伝え合う力」「考える力」を育てる授業を進めることが大事であると、全小国研全国大会(滋賀大会)で提案すると言う。伝え合う力も考える力も絶えず[A話す聞く][B書く][C読む]どの学習活動ででも課題にした実践でなくてはならない。とすると、徹底して実践した音読活動がどのように「伝え合い」「考える」力に結びついていったかを明確に提案していただくとありがたい。全小国研全国大会への私の期待である。
(大津市立仰木の里東小)