▼中学校の通信に職場体験学習の心得なるものが記されていた。興味があったのでメモをした。

▼○時間厳守。○身だしなみ。○指示や約束秘密は必ず守る。○はっきりした声での応答とさわやかな笑顔。○全力で取り組もう。○まじめに一生懸命に責任を持った行動を取ろう。ーー六か条が示されていた。

▼時間厳守や身だしなみは、その時に気をつければいいが、「はっきりした声」や「さわやかな笑顔」は手ごわいぞと考えた。中学1年生が対象なので、小学校の積み上げがそのまま出るからである。

▼国語教育という立場で、この「はっきりした声」や「笑顔」に注目をしてみた。短絡的に、話し方・聞き方に結びつけるのは簡単である。しかし、授業をしていてわかってきたことは、形式的なことだけの指導の成果は見えるが、内容になると手間をかけないと成果が見えてこないことである。つまり、それぞれの人の中に、語るべき内容があり、それを受け入れる豊かさがないと、「はっきりした声」も「笑顔」も形だけになってしまうのである。

▼このように考えてくると、小学校では、豊かさに向けての積み上げが必要ではないかということを、最近、特に気にするようになった。読書・作文等は、学習活動としては分かりやすいし、子どもの中に蓄えられるものが多い。

▼積極的に、考える場を作る学習が必要だろうと、職場体験心得から感じた。(吉永幸司)