読書交流会で育てる「伝え合う力」
池 嵜 繁 伸

1.読書交流会へ高める学習計画
 「伝え合う」ことを大切にした学習活動は、「伝えたいものがある」ことが大切である。
 そのためには、一人ひとりの子どもたちが「伝えたいもの」を蓄え、それを共有することが大切であると考え、学習計画を立てた。
 (1) 教材「その人と出会って」(光村五下)を読み合い、読書交流会をするという目的を持つ。
 (2) 「読書案内」を手がかりに、人の生き方をテーマにした本を読むことについて話し合う。
 (3) 生き方をテーマにした本を読み、伝え合いたい事柄をメモにする。
 (4) 読書交流会をグループごとに行い、読書について考え合う。
 この学習計画で大事にしたことは、読書から得た感動を共有できるようにしたことである。よい本を選ぶということが大切であると考え、どの本を選ぶかについては丁寧に指導をした。

2.互いの高まりを共有した読書交流会
 読書交流会は、グループごとに行った。話し合うには、グループの方が効果があるし、交流は少人数の方が実質的であると考えたからでもある。
 C わたしの読んだ本は、星野富弘さんの「かぎりなくやさしい花々」です。
 C どんな文が心に残りましたか。
 C 「顔の横に花をおいて見つづけていたら、私は花よりも小さくなってしまった」というところです。
 C わたしも星野さんのを読んで感心した。絵も上手だし、とても、まねできないくらい。
 C ここまでなるのが、たいへんと思いました。
 C ぼくの読んだ本は、手話の本です。リーナとよばれる6才の人は、耳が聞こえなくてもいろ いろな形を知っているのにおどろきました。
 子どもたちは、自分の読んだ本と紹介したい友達の本について、交流するための話し合いを続けていった。

3.読書交流会で育てる「伝え合う力」
 「伝え合う力」は、聞くだけでも話すだけでもない。自分から発信し、相手から受信するということを意識的に行うことから身につく力である。
 学習計画でいえば、教材を中心に、学習に目的を持ち、しかも、読書交流会に向けて自分の蓄えを持つことが、大切な活動となる。
 学習の成果として、子どもたちが、自分の校内向けホームページに「おすすめBOOKコーナー」を設けたことがあげられる。
 読書交流から、子どもなりに情報機器という方法を使って、教室を飛び出していったものとして尊いと思った。
(彦根市立城陽小)