▼指導要領の「書くことの言語活動例」を話題に研究談義が続いていた。その中で「手紙を書く」の効果を次のように提言した実践家があった。手紙は相手を意識するから子どもががんばるという内容であった。

▼低学年で遠足のことを書かせたところ、校長先生を相手にした子は、見学をしたところで学んだことや、見学の日程を詳しく書いたという。お母さんに届ける手紙を書いた子は「お弁当がおいしかった」とかお弁当の後、誰と遊んだという内容が多く、学級担任あての手紙は、遠足の感想だったという。

▼作文といえば、心に残ったことを書くというのでなく、目的をはっきりすると、力が育つ活動になるということを確かめた。相手が選べるということはすでに人間関係ができていることである。当然書きたいことも選ばれてくるということであろう。

▼「おもしろい実践」と前置きして次の事例が話題になった。教材「お手紙」の指導で「がまくんやかえるくんになって」という立場に立たせて手紙を書かせたというのである。子どもの優しさがあふれたという。低学年の子どもにとって手紙を書くという活動は自分の中にある優しさを言葉で表すということを意味するのだろう。(吉永幸司)