「その本あるあるカード」を作る(つづき)
岡 嶋 大 輔

 「あるあるカード」の発想は、子どもたちの読みを活性化することをめざして生み出したものである。
『ぼくはねこのバーニーが大すきだった』を読み、一言で自分の感想をまとめるという活動は、話し合いを生み出す手がかりを与えるものになるであろう。
 交流を深める授業を次のように進めた。
 (1)「あるあるカード」の見出しを一覧できるようにする。
 (2) 友達の見出しを見て、話を聞きたい友達と内容を確かめ合う。
 (3) 友達の話をヒントに自分の「あるあるカード」を書く。

 見出しを考えるための子どもの目のつけどころはそれぞれ違う。
 主人公の心の変容や、状況の変化、逆に、バーニーが大好きだ、という主人公の変わらぬ思いに目をつけている子どももいる。また、自分の体験と重なるところ、他の登場人物の人柄、強烈な悲しいという印象の残るところなど、そのような、人による感じ方や、読み方の違いに少しでも触れていく経験は大切である。

 授業では、互いの読書の姿勢を尊重していけるように次のことに着目するようした。
 ・自分と似ている見出しと違う見出しを見つける。
 ・○○さんは、どうしてその見出しにしたのですか、とたずね合う。

 授業の後半で、次のような子どもの発言が続いた。
C 最初は何も食べなかったけど食べるようになったからというのが訳だと聞いて、なるほどなと思いました。
C 地面の花の手伝いをするから安心したということを聞いて、そういうように考えることもできるのだなと思いました。
C 男の子の気持ちが変わっていったというのを聞いて、気持ちを考えて読むのがなるほどなと思いました。

 その端々からは、意見を交わしながら友達の考えに納得している姿が伺えた。
 しかし、自分と違う「その他」を知るだけでいいのかという疑問が残った。次からの読書生活に生きるように、それぞれの読書における目のつけどころを、3年生という発達段階で、どこまで深く学習すればよいのかという課題が出てきた。
 その子なりのいくつかの読みの視点を持つことは、今回のような友達と自分の読みとの交流を繰り返しながら、長い年月を経て培われるのものだと考えさせられた。
(甲賀町立佐山小)