子 ど も を 育 て る 先 生
森  邦 博

 大津市教頭会県外研修で、岐阜市立長良西小学校・長良中学校を訪問研修してきた。
 両校とも「研修校」ということで、先生方は「この学校で研修を積んで、実践力を高めよう」との自覚の元に、それぞれの先生が目的を持って日々研修を積んでおられるという説明を受けた。
 もとより教師は自ら進んで研究と修養に努めなければならないことは当然のこと、と言ってしまえば身も蓋もない。私は、「当たり前のことを日々続けることこそ貴重である。それは子どもの姿に現れる。毎日の地道な実践こそ本物」と思う。子どもの姿を見たくなってきた。

 長良西小学校は、私たちのために全学級を公開してくださった。
「自習の学級では自習の様子も参観ください。」
と教頭先生。
 参観を終えた者は誰からともなく「子どもが育っている」と言う感想がもれた。

 私は6年3組を1時間ずっと参観させていただいた。
「討論会をしよう」の2時間目。先生の司会で、ディベート風の討論が始まる。すると、聞き手の子どもがどんどんメモを始めた。
 そして、いよいよ討論の判定の時間。
「○○さんの言った〜の言葉がとってもよく効いていたと思います。」
「〜がもっともな意見だと思ったからです。」
とよい点の理由を付けての判断に、うれしそうに顔を赤くする女の子の顔がすがすがしく見える。
 最後には、判断に迷ったという□□君を先生は指名された。その子は、
「最後まで迷いました。けれども、△△さんの発言で決めました。」
と、発表した。先生は、
「□□くんは、みんなの判断の発表の間どちらにしようか迷って迷ってみんなの発言を聞いていたんだね。△△さんの発表も聞いていて考えがまとまって、やっと決められたんですね。」
と、子どもたちに解説された。

 私は「こういう積み上げがあるのだな」と思った。
 子どもたちは、討論する子の発言を一生懸命聞き取り、良さを見つけて判断していた。同じように先生は、一人一人の子の迷いや考えの揺れ動きをみとっておられた。それが最後に□□くんを指名する授業の構成に生かされたのではないか。
 こんな積み上げが子どもを育てると、私は感心して参観を終えた。
(大津市立仰木の里東小)