大 造 じ い さ ん と ガ ン − 脱 ・ 詳 細 な 読 み −
好 光 幹 雄

 物語教材における詳細な読みについての議論がなされている。脱・詳細な読みの工夫として、物語の場面状況や感想を俳句にするのもその一つであると考えている。青木幹勇先生のご実践はそれに答えるものと勝手に考えている。
「大造じいさんとガン」は、季節感のある描写があまりないので、俳句にはなりにくいが、五七五にしてみようということで実践してみた。

単元計画 (全7時間)
(1) 音読練習・難語句の学習 3時間
(2) 場面の読み取り学習   2時間
(3) 五七五作りと合評会   2時間

  まえがきより
たくさんの狩人集めて話する
パチパチと大きな丸太が燃え上がる

   1よリ
ガンの群れ率いてくるのは残雪だ
残雪は食べる間も気を配る

   2より
じいさんは一晩かかって杭を打つ
たくさんのうなぎつりばりしかけとく
一羽だがいきたガンをとらえたぞ
じいさんが子どものように喜んだ
残雪は失敗にこりちえしぼる
じいさんと残雪の群れのちえくらベ

   3より
ガンの群れ思わぬごちそう食べまくる
あかつきの光が小島に流れこむ
ガンのむれかなたの空に点々と
今年こそ目にもの見せるぞ残雪め
うまくいく空を見ながらにっこりと
戦闘だ空が真っ赤に燃えている
大群が羽音とともに飛び立った
じいさんはどうしたことだとはいだした
ハヤブサが一直線に落ちてくる
じいさんのおとりのガンがSOS
ハヤブサはおとりのガンを見逃さず
作戦はじゃまもの入って失敗だ
ピュピュピュ吹く口笛もあせってる
救わねばならぬ仲間の姿だけ
不意打たれさすがのハヤブサよろめいた
あかつきに白い羽毛が散っていく
白い羽花弁のように散っていく
ハヤブサは人間認め飛んでいく
ぐったりと胸くれないにそめながら

   4より
残雪の羽音一番春の朝
らんまんとさいたスモモに羽ふれる
残雪よ今年の冬も戦おう
清らかな気持ちで残雪見送った
晴ればれとガンの英雄見送った
 本文を掲示板に貼りその下に作った句も貼る。友達の句に刺激され、多い子は30句以上も作った。
 合評会では、各自が選んだベスト5を発表する。五七五に凝縮することで物語が一層楽しめた。
(大津市立堅田小)