巻頭言
確 か で 豊 か な 言 語 活 動
宮 野 真 也

 7月28日(金)、約350名の集う「香川県小学校教育研究会国語部会夏季研修会」が開かれた。
 研究主題は「改訂学習指導要領の趣旨に沿った国語科学習のあり方」。新しい国語科学習のあり方を具体的な授業のイメージとして明らかにしたいとの願いからである。幅広い実践から大切なものを見つけていく方向で、「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」の3領域をそのまま討議内容としたパネル討議を3本行った。そして、3本通しての終日の指導者として、吉永幸司先生をお迎えしたのである。
 各パネルは、各郡市代表者の貴重な提案をもとに進められた。吉永先生からは、模擬授業を用いながら自らの実践をもとにした具体的なご指導をいただいた。その一部を次に示す。

○「話すこと・聞くこと」
・話すことの力は実際に話すことで初めて身に付く。全員が話す機会をできるだけ多く持とう。
・自分の話す様子について本人が自覚できるような場を作ろう。
・「発表」ではなく、「自分だけでは考えられないことが分かった」となる「話し合い」をさせよう。

○「書くこと」
・教材文の読み取りだけでは書く力は身に付かない。書く過程での指導こそ大切である。
・例えば、ワークシートにアイウの評価欄を設けるなど、子どもが「できそうだ」「今日はこれを学習している」と常に自己評価できる工夫をしよう。

○「読むこと」
・読むことの力も、すらすらと読むことの指導から始まる。
・単元の始めに、自分の力で読んでみて「だいたいこんな学習をするんだな」と全体像をもつ独り立ちの学習を目指そう。

私は、「書くこと」の模擬授業の児童役になり、四行作文の授業を受けた。たった四行であるが、ずいぶんと思考が働く。子どもたちの作文の過程でも、懸命に言葉選びを繰り返しているのだろうと改めて思った。と同時に、教師の方は、書くことの思考を怠けているのではないかと反省させられた。
 倉澤栄吉先生の言葉「国語教師になるのならよい書き手になりなさい」を紹介された吉永先生は、機関紙「さざなみ国語教室」を発行され、教師自身をよい書き手に鍛える実践者でもあることを再確認した次第である。

(香川大学教育学部附属坂出小学校)