▼10月例会(第224回)は『「伝え合う力」を育てる短作文の指導』の出版を祝う会にした。これは「実践国語研究・別冊」として明治図書から発行していただいた。

▼話すこと・聞くことの学習活動や「総合的な学習の時間」の様子を見ていると、子どもが自分の考えをまとめたり、分かりやすい内容で伝えることに随分苦労をしている。表現の基礎になる何かが子ども達に必要である。その拠り所を短作文に求めたのである。

▼短作文を授業に取り入れると例外なく子どもが「面白い」と言い、「分かった」という言い方で満足感を示す。何が魅力なのかは定かではないが、指導を丹念に積み上げていけば確実に思考力も表現力も身につくと考えている。

▼かつて本会は短作文に関する図書を8冊著してきた。筋道だてた論理はないし、いかにもアイデアの域を免れないが、教材開発の魅力にひかれて試みたものばかりである。今回は、更に、授業としてどういう展開になるのかなどをきめ細かに考えてきた。

▼書くことの小さな積み上げがあればきっと子どもの力は育つという頑固なまでの考えで実践を積み上げている。刊行した喜びを菊薫る佳き日にわかちあった。

▼巻頭には、宮野真也先生から玉稿をいただきました。深謝。(吉永幸司)