総合的な学習を支える国語科の学習
池 嵜 繁 伸

 本校5年生では「働く人々との交流を通して、今までの自分のものの見方や考え方を見つめ直し、よりよく生きようとする」子どもの育成をねらいとして、総合的な学習に取り組んでいる。子どもたちは「働いている人の苦労や喜びを探ろう!」をテーマに、校外での調査や体験活動を計画している。
 その中で、次のようなつまずきが生じてくる。
 ●自分が学びたいことの説明が不十分だった。
 ●インタビューをしたが、準備不足で浅い内容しか聞けなかった。
 ●礼状を書こうと思ったが、書き方がわからなくて書けない。

 総合的な学習の実践により、教科でつけてきたはずの力が十分には身についていないことに気がつく。そこで、総合的な学習の言語活動と国語科が有機的に関わる学習を通して、子どもたちの伝え合う力をより豊かに育成することができるのではないかと考えた。

 総合的な学習では、様々な言語活動を通して学習を行ってはいるが、それは言語能力の育成を中心に据えた学習ではない。国語科では、これらの言語活動の重要性を十分認識して言語能力を育成するという立場での学習を進めていく必要がある。

 今回行った国語科の学習は、総合的な学習を展開する過程で、練習単元という形で基礎的な言語能力を取り立てて指導する時間を特設した。

 本単元では、「依頼」という言語活動を取り上げ、全3時間の学習を構成した。「依頼」という見過ごされがちな言語活動にも、伝え合う力を育成する上で大切な言語能力が含まれている。単元目標は次の2つ。
 ○話の要点や中心点を明確にして話すことができる。
 ○相手や場に応じて状況を考えながら対話することができる。

 学習活動にロールプレイの手法を取り入れ、その場面に直面したらどんなやりとりをするかを事前に考え、対話させた。
 台詞や言うべき内容をあらかじめ決めることはせず、子ども自身が伝えたい内容を相手にわかってもらうために自分の言語能力を駆使し工夫して練習していけるようにした。また、依頼をする側とされる側の細かい設定についてはお互いに知らせず、相手の立場や思いを推し量り状況を考えながら対話することの大切さを意識させることに重点をおいた。

 学習の最後に、各自が「依頼のワンポイントガイド」を作成した。そして、それを来年の5年生にも使ってもらおうと「依頼のガイドブック」にまとめ、活用できるようにした。
 今、国語科で子どもにどんな言語能力をつけなければならないのか、実践により明らかにしていきたい。
(彦根市立城陽小)